起業家から弁護士へ。ビジネスと法律を繋ぐハブとして、スタートアップを支えたい
「個性豊かな法律事務所ZeLoの新人弁護士を、先輩弁護士から紹介したいーー。」そんな想いでスタートした本シリーズ企画。第4回は、学生時代に起業およびバイアウトを経験後、エンジェル投資家としても活躍し、ZeLoに入所した越水優介弁護士(74期)を紹介いたします。紹介者は、インハウスローヤーを経てZeLoに参画し、現在、越水弁護士のメンター(指導係)を務める長野友法弁護士(66期)です。
自己紹介
ーーはじめに、お二人の自己紹介をお願いします。
越水:74期弁護士の越水優介と申します。現在は、LPO(Legal Process Outsourcing)業務とPLS(Professional Legal Services)業務を兼任しています。LPO業務では主に日常的な契約書のレビューや法律相談といった顧問対応を担当し、PLS業務では資金調達の際の投資契約書の作成や、ストック・オプション発行の際の書類の作成・レビュー等のほか、訴訟案件にも携わっています。
長野:66期弁護士の長野友法と申します。自分は主にLPO業務を担当しています。担当クライアントとしては、エンタメ系や上場企業が比較的多めです。他方で、スタートアップの支援も行っております。また、越水さんのメンター(新人弁護士に1対1でつく指導係 )でもあります。
ーー別の記事でも書いてもらいましたが、越水さんは学生時代に起業されていたんですよね。なぜ弁護士というキャリアを選択したのでしょうか?
越水:起業当時、法的なトラブルが発生した際、弁護士の方に助けてもらってうまくいったという経験が一つ挙げられます。
また、私はエンジェル投資家として数社ほど個人で投資活動をしているのですが、投資契約書をはじめ、諸々の手続きには弁護士が大きく関わっていると知ったことも大きかったです。弁護士というと裁判のイメージが強かったのですが、起業家や投資家のサポートなども行っており、ビジネスと深く関わるような働き方もできるのだと思った覚えがあります。
私自身も、弁護士としてビジネスの支援を通して、社会のために活動できるようになれればいいな、と思ったことも理由の一つです。
ビジョンに共感してZeLoへ。起業家から弁護士への転身
ーーZeLoに入所しようと思った理由はなんだったのでしょうか?決め手はありますか?
越水:大きかったのは長期インターンの経験ですね。インターンに参加して、ZeLoの方々と交流するなかで、「パイオニアの精神」を強く感じたんです。創業者の先生方も、確固たるビジョンや精神を持ってZeLoや株式会社LegalForceを立ち上げていますし、そういったところに強く惹かれました。
インターン中も急成長を続ける様子を目の当たりにして、自分もZeLoのメンバーとして、より良いリーガルサービスを社会に届けられたらいいなと考えるようになりました。
▼越水弁護士が、インターン生時代の経験を振り返って執筆した体験記はこちら。
長野:私も同じく、事務所のビジョンにすごく共感できたことが決め手で入所を決意しています。前職でメーカーに勤めていた頃からZeLo やLegalForceの存在は知っていたのですが、その後、縁あって高井さん経由で紹介を受けることになったんです。
初めてZeLoの事務所を訪問して実際に所属メンバーと話してみたら、考え方やビジョンに深く共感できたので、その場で入所を決めました。
ーー学生起業家として成功していながら、ZeLoと出会い「弁護士」というキャリアをあえて選んだ、そのモチベーションの源泉はどこにあるのでしょうか?
越水:起業家のリーガルリテラシーを変えたい、という強い思いですかね。
同世代の起業家の友人たちを見ていると、法律の面は結構後回しにしがちで、後々問題が発生してから弁護士を探すケースも多いんです。起業家のリテラシーを改善することで、スタートアップがより挑戦しやすく、より成長しやすくなると考えています。特に、初めて起業する学生に向けて、リテラシー向上や弁護士にアクセスしやすい仕組みづくりなど、これから弁護士としてチャレンジしていきたいことがたくさんあります。
長野:学生さんとの交流は、最近も続けているんですか?
越水:弁護士になってからだと、高校生の起業家と交流することが多いです。
最近、高校生起業家がすごく増えているんです。私が高校生の頃にも少なからず「自分で商売をやっている」という人はいたんだろうとは思いますが、インターネットの発展で情報にアクセスしやすくなり、ビジネスを始める敷居が下がったのかなと思います。
高校生起業家のコミュニティがあるのですが、所属している皆さんはすごく熱量を持っていて。自分の一回り年下とは思えないくらい、色々なことにチャレンジする姿に衝撃を受けました。
一方で、どうしてもリーガル面をおろそかにしがちというか、そもそも考えてもみなかった、という方が多いですね。起業家は、ビジネスモデルの考案や利益の追求がメインの仕事ですが、やはり法律をはじめのうちから意識しておくことも大切です。だからこそ、元起業家という立場から、弁護士を活用することの大切さも広められたらいいですね。
ーー今の話を聞いて、リーガル×ビジネスモデルの構築という点では、「ZeLo Legal Camp」の話とかなり通ずることがあると思いました。今年は越水さんも参加者のメンターを担当されたかと思いますが、ぜひ所感を教えてください。
越水:私もメンターとして、新規性のあるビジネスモデルを学生の皆さんと一緒に検討したり、当該ビジネスモデルの法規制について議論したりしました。
「ZeLo Legal Camp」は法律事務所が主催するビジネスコンテストになりますので、ビジネスモデルの法規制についてもしっかりと検討いただくことを課題としておりました。
私が担当したグループのビジネスモデルは、法規制が厳しい分野でしたので、どのようなスキームを構築すれば規制を回避できるかなど、何度も議論を重ねて適法なビジネスモデルにブラッシュアップ していきました。
プログラムの終盤では、考え抜いたアイデアについてZeLoの弁護士の前でプレゼンを行い、ビジネスとしての新規性や成長可能性などの観点から評価やフィードバックを受けます。最終的に私の担当したチームが優勝することができ、大変嬉しく思いました!
参加者の皆さんは法曹志望者が多く、ビジネスコンテストの経験は今回が初めてとのことでしたが、ビジネスの視点から法律について考える、 良い経験になったのではないかと思っています。
このイベントがきっかけで起業に興味を持った参加者もいらっしゃり、起業経験のある私としても、こういった方が増えるとスタートアップもより盛り上がっていくだろうなと感じました。
ZeLoで働いてみて感じたこと
ーー業務が始まってから5か月が経過しましたが、仕事は順調でしょうか?
越水:毎日が新しいことの連続で、覚えることも多いのですが、クライアントの皆さまが成長する助けとなれていることを実感できる業務ばかりで、充実した日々を過ごさせてもらっているなと思います。
直接クライアントとやり取りをさせていただくようになり、長期インターン時代とは違う、責任のある立場になったのだと実感しています。
長野:最初の頃は、クライアントに送るメールの書き方も、先輩が細かくレビューをしているという感じだったのですが、最近では、打ち合わせ前に方向性だけ相談しておいて、会議の進行自体は越水さんにお願いするなど、徐々に業務をお任せしています。
越水:弁護士は法律を扱う仕事ですが、単に正論として法律を用いるのではなく、クライアントの立場を理解したうえで、その企業に合わせたアドバイスが求められるところが難しさでもあります。
たとえば、契約書を作成する際に、法律を踏まえたうえで気になった点とビジネスを動かしている立場でクライアントが気になる点が異なっていることもしばしばあります。より良いリーガルサービスを提供していくためには、クライアントとの密なコミュニケーションを通してビジネスに寄り添う姿勢が必要不可欠なのだと身をもって感じています。
ーー長期インターン時代と今とでZeLo を比較して、どのような違いがありますか?
越水:オフィスが変わったことや、新しいメンバーが増えたことですかね。ZeLoはとにかく変化のスピードが速いです。インターン時代、修習時代、それぞれの時期でと印象がどんどん変わっています。私がインターンをしていた頃は、弁護士数は20人弱くらいだったんですよね。
長野:今は弁護士数も倍くらいになっていますし、スタッフさんもどんどん増えていますよね。私自身も入所してまだ1年ちょっとしか経っていないのですが、弁護士の入所順で見ると、もう全体の真ん中くらいなんです。
ーー起業した経験が弁護士業務でも活かされている、という実感はありますか?
越水:経営者が最も重要視していることは、利潤の追求で、ついそちらに考えが偏ってしまいがちなんですよね。その気持ちはよく分かるので、そこを汲み取りつつ、適法性も担保できるようなアドバイスを意識しているという意味では、経験を活かせているのではないかなと思っています。
長野:実際、越水さんはある起業家のクライアントとも、5か月という短期間のコミュニケーションでかなり良好な信頼関係を築けているんです。それはやはり、シリアルで起業をしたという経験を活かせているのかな、というのは横から見ていて思います。
法律という後ろ盾がある手前、弁護士はつい「テキストとしての法律」から出発して考えてしまう傾向があると思うのですが、越水さんは起業の経験があるからこそ、クライアントに寄り添うことの大切さにいち早く気づいたのだなと思います。
メンター担当としての先輩弁護士がいる心強さ
ーーZeLoではメンター制度を採用しています。実際、どのような形で越水さんのサポートをされているのでしょうか?
長野:越水さんが入所してすぐの頃は、週に1回以上は1対1のミーティングの時間を設けていました。ミーティングでは、主に直近の業務状況を聞きつつ、何か詰まっているポイントがあれば一緒に検討しています。
また「こういった案件をやってみたい」というリクエストがあれば、他の弁護士にも共有して、希望に沿った案件ができるよう調整をすることもあります。
最近は慣れてきたので、2週間に1回程度に頻度も下げてはいるのですが、1対1で話す機会は定期的に取るようにしています。また、越水さんとはオフィスで席が隣同士というのもあるので、ミーティング以外でも色々と話をする機会は多いですね。ちょっとした雑談をしたり、僕以外が担当している案件の進め方の相談に乗ったりもしています。結構良好な関係を築けているんじゃないかなと、勝手に思っています(笑)
越水:関係は非常に良好です!(笑)
長野先生と一緒に対応している案件はもちろん、それ以外の業務や雑談も含め、気軽に話ができるのはありがたいです。メンターの先生がいることは本当に心強いし、楽しく業務に取り組めているなと感じます。長野先生は、クライアントに対していつも穏やかに、そして的確なアドバイスをされていらっしゃいます。たくさんのクライアントを抱えられてお忙しいにもかかわらず、至らない私に対しても、ひとつひとつ優しく丁寧に教えてくださり、心から尊敬しています。
プライベートな面でいうと、「ポケモンGO」のイメージが強いです(笑)お休みを利用して全国各地のポケモンを捕まえに行かれたりしているのですが、 ここまで力を入れている方に初めて出会ったので、本当にすごいなと思っています!
長野:ポケモンGOは仕事の息抜きとダイエットを兼ねているのですが、趣味も全力で楽しむようにしています(笑)ZeLoの弁護士は、仕事も趣味も楽しんで前向きに挑戦している人が多いですね。
リーガルサービスへアクセスしやすい仕組みづくりを
ーー最後に、越水さんが今後チャレンジしていきたいことを教えてください。
越水:先ほどの内容と重なる部分もあるのですが、「創業期の起業家がリーガルサービスにアクセスしやすい仕組み」をつくっていきたいです。
若手の創業期の起業家は特に、リーガルへのアクセスしづらい状況に置かれていることが多いです。必要だと思っても、専門性のある弁護士にアクセスすること自体、結構難しいんですよね。そういう法律に不慣れな起業家の方に対し、ZeLoがスタートアップへの支援に力を入れていることを知ってもらって、最終的にはサポートしていけたらと考えています。
私個人としても、よりZeLoの名前を広げられるような活動を続けていきたいですね。
長野:越水さんは、今も色々なコミュニティに顔を出されたりしていますし、きっとこの目標も達成されるだろうなと思っています。
一方、法律にあまり詳しくない人に法律の重要性をわかりやすく伝えるのは結構大変で、他人に伝えるためには、自分自身が法律のことを深く理解しておくことが一番大切なんじゃないかなと思います。そこさえきちんとやっておけば、必ず実現への道は開けると思います。これからの越水さんにとても期待しています!
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※記事の内容は掲載当時のものです(掲載日:2022年10月19日)
(編集:渡辺桃、田中沙羅、ZeLo LAW SQUARE 編集部 写真:根津佐和子)