先輩の背中を追いかけて。一人前の弁護士になって、クライアントや事務所に貢献したい
「個性豊かな法律事務所ZeLoの新人弁護士を、先輩弁護士から紹介したいーー。」そんな想いでスタートした本シリーズ企画。最終回となる第5回は、長期インターンから入所を決めた井上健仁 弁護士(74期)を紹介いたします。紹介者は、井上弁護士のメンターである島内洋人 弁護士(72期)です。
2017年東京大学法学部卒業、同年司法試験予備試験合格。2018年司法試験合格。2019年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。2020年法律事務所ZeLo参画。クロスボーダー取引を含むM&A、ストック・オプション、スタートアップ・ファイナンスなどコーポレート業務全般を手掛けるほか、訴訟/紛争案件も担当。また、AI、web3、フィンテックなどの先端技術分野への法的アドバイスを強みとする。主な論文に「ステーブルコイン・DeFiとCBDC」(金融・商事判例1611号、2021年)、「スタートアップの株主間契約における実務上の論点と対応指針」(NBL 1242(2023.5.15)号)など。
目次
自己紹介
ーーはじめに、お二人の自己紹介をお願いします。
井上:2020年に大学を卒業し、2022年4月末に新卒でZeLoに入所しました、74期の井上健仁です。今は主に、10数社の日常法務全般や、個別案件でM&Aやファイナンス業務などを対応しています。現在は専門分野を持っておらず、幅広く様々な分野の案件について対応しています。
島内:2020年にZeLoに入所した、72期の島内洋人です。業務は、主にストック・オプションやスタートアップ・ファイナンスなどのスタートアップ法務や、web3・ブロックチェーン、M&A、訴訟など、幅広い分野に携わっています。また、4月末から井上くんのメンターとして、業務をサポートしています。
本年度から始まったZeLoのメンター制度
ーー本シリーズではメンターの方に出ていただくことも多いのですが、改めて、ZeLoのメンター制度について教えていただけますでしょうか?
島内:メンター制度は、新人弁護士の教育制度の一環で、新人弁護士1名に対し、1名の先輩弁護士がつくかたちです。執務席を隣同士にして、日常的にわからないことがあればすぐに聞ける体制にしています。実際、井上くんからもよく質問してもらっています。
ーーメンター制度は、今年74期の弁護士の代から始まりましたよね。どのような経緯で始まったのでしょうか。
島内:2021年に新卒で入所した73期の由井先生が、主導して作ったのが始まりです。由井先生は、同期入所が他にいなかったこともあってか、フランクな相談相手を制度として確保する必要があると感じていたそうです。その経験から日常的にすぐ質問しやすい環境を作るために、今年からメンター制度が始まりました。井上くんはよく自分から声をかけてくれるので、ありがたいです。この前もスタートアップ・ファイナンスの質問をしてくれました。
井上:リサーチなどをして自分なりの回答を持ったうえで、困ったら島内先生にすぐに相談していますね。
ーー島内先生と井上先生は年齢が近いですよね。年齢が近いメンターはいかがですか?
井上:島内先生は3歳年上ですが、本当に優秀な方なので刺激になっています。「数年後に島内先生のように仕事ができるようになるぞ」とひとつ目標にして、島内先生の仕事や勉強の仕方を見習いながら業務をしています。
また、年齢が近いこともあって、兄貴的な感じで話しかけやすいです。
島内:実際にメンターとして井上くんと関わると、年齢近いがゆえに、井上くんの状況もよくわかるので、共感できる壁打ち相手になれているのではないかなと思っています。今は、1on1も週に1度行うなど、定期的に話す機会を作っています。
井上:1on1では、日々の業務で悩んでいることを話すと、その場で解決案を出してくれます。島内先生にとっても新人時代が数年前なので「自分はこうだったよ」と具体的に教えてくださっていますね。1on1が終わる頃には、すべて納得して「実行しよう!」と思えるようになっています。
ーー島内先生はメンターを担当することで仕事に変化はありましたか?
島内:新人弁護士でも業務のクオリティを出すことができるような仕組みづくりに関心が向くようになりましたね。具体的には、ナレッジシェアやひな形・マニュアル作成などに注力するようになりました。
ーーメンター同士での会議などもあるのでしょうか?
島内:定期的にミーティングなどで、お互いの状況を共有していたりします。みんなそれぞれ、アプローチ方法は74期の個性に合わせて対応しているなという感じがします。
井上くんのメンターをするにあたって、僕は忙しすぎないかというケアの面と、最近困っていることはないかのヒアリング、今後の成長のための壁打ち相手になるという点を意識しています。僕自身、1年目の頃に忙しかったと感じているので、今の制度があると先輩が繁忙状況をリアルタイムで把握できるので良いなと思います。 また、仕事へのマインドセットなど、良い示唆を与えられるように気を付けています。
ーー2人で案件対応をすることも多いと思いますが、島内先生から見て井上先生の良いところなどはありますか?
島内:井上くんにはクライアントの窓口対応などもしてもらっていますが、クライアントと話しているときに、堂々と、はきはき、分かりやすく話しているのは良いところだなと思いますね。すでにクライアントの心をつかんでいるのではないでしょうか。
ーー逆に、井上先生から見て、メンターである島内先生の良いところや憧れているところなどはありますか?
井上:シンプルに、レベルが高いなと日々尊敬していますね。自分が2年後こうなれるとは思えないという感覚です。法律に対し、根本から深く精密に理解されているので、どんな案件の質問などに対しても、すぐに回答やアドバイスの方針目処を立てていて、すごいなと思います。
仕事のやり方の面では、失敗をしたり効率が悪いと感じたりした際に、すぐにどう改善していくかを常に考えているところも尊敬していますね。
長期インターン時のZeLoの新任弁護士に衝撃を受けた
ーーここからは井上先生のキャリアや今後について聞かせてください。そもそも、なぜ弁護士を目指そうと思ったのでしょうか?
井上:正直、大学入学の頃は、将来明確にやりたいことがなかったのですが、検察官を目指す友人の予備校に興味本位でついていったことが、弁護士を目指すきっかけになりました。法律に触れる中で、法律は面白いし、弁護士の可能性は広いなと感じ、弁護士を目指すようになりました。
法律がきっかけでも検察官など他の道があるとは思いますが、特に弁護士は色々な分野で活躍されている人が多いので、自分が極めていきたい分野が見つかった時にも対応できるかなと思ったのも決め手のひとつです。弁護士がビジネスの第一線で活躍する場面も多いので、今後の可能性に期待し弁護士を選びました。
ーーそのなかで、なぜZeLoに入所しようと思ったのでしょうか?
井上:事務所を選ぶ軸を考えたときに、生きてて楽しいと思える事務所がいいと思ったんです。そこで、何をしているときに生きてて楽しいと思うか?と考えたら、「自分が対応したことでコミュニティや環境にプラスのインパクトを与えられたとき」と「自分が成長を感じられた瞬間」だと思い浮かびました。その2軸で考えたとき、ZeLoは若手でも案件を主導していける環境があるので、自分の力を最大限発揮したら事務所もクライアントもプラスの方向に導いていける可能性があると思ったんです。また、弁護士としての成長度合いも一番高そうだと感じ、その2点でZeLoが1番だと感じました。
あとは単純に弁護士・スタッフさん含めZeLoのメンバーが大好きなので、この人たちと一緒に仕事がしたいと思ったのもありますね。
島内:嬉しい限りですね。成長環境でいうと、すでにクライアントと主体的にやりとりして、急な電話などにもうまく対応しているなど、まさに成長環境を実感してくれているかなと思います。
井上くんは学生時代、僕がちょうど1年目の頃にZeLoで長期インターンをしてくれていて、その頃からの付き合いなので感慨深いです。
井上:長期インターンを始めた頃は、別の事務所に入所する方向でいたので、ZeLoに入所するなんて1ミリも思っていませんでした。ただ、島内先生をはじめとする、当時1年目後半の弁護士たちと関わる中で、「弁護士になって1年も経たずにこんなレベルになっているんだ…!」と衝撃を受けて、徐々に気持ちが変わっていきました。優秀なことはもちろん、クリエイティブに、主体的に事務所のことを考えていて、こういう環境に身を置いていきたいと思いました。
露天風呂で人生について熱く語り合ったことも
島内:長期インターン中に、どの事務所に入所することが良いのか、結構迷っていましたよね。キャリアの話などを何度もした覚えがあります。
井上:オフサイトイベントで熱く語り合わせてもらったのを今でも覚えています。
ZeLoでは、定期的に弁護士などの士業全員が避暑地に集まり、今後の事務所の方針などを話し合うオフサイトイベントを開催していますが、当時長期インターンだった僕も参加させてもらいました。島内先生などと、露天風呂で「弁護士としてどうなりたいか」などの人生ベースの話を、腹を割って熱く語り合わせてもらいましたね。良い思い出です。
島内:井上くんは長期インターンで働いてくれていた様子から、皆がぜひZeLoに入所してほしいと思っていました。腹を割って話した結果、こうして入所してくれてとても嬉しいですね。
責任も大きく、自分の成長スピードを感じる
ーー業務が始まってから半年ほど経ちますが、実際の弁護士業務はいかがでしょうか?
井上:難しいなというのは毎日感じています。不安とプレッシャーがあって、長期インターンの時とはまったく違いますね。成果物の責任は自分にあり、自分の成果がクライアントなどにも影響するので、ミスなくちゃんとしたものを出さないといけないという緊張感を感じながら仕事をしています。まだまだ自分の能力が足りない部分もあるので、必死で目の前の仕事に食らいついていますね。
ただ、長期インターンの頃と比べて、自分で案件を主導できるなど責任度合が違う分、自分の成長スピードも感じています。
島内:すでに、クライアントの窓口やヒアリングなども主導してやってもらっているので、大変なことも多いとは思います。
弁護士は色んな仕事があって、中には好き嫌いもあると思いますが、それでも井上くんは前向きに何でも取り組んでくれています。一緒に仕事をする立場として井上くんの仕事ぶりは嬉しいですし、気持ちが良いですね。その姿はクライアントにも伝わっていると思います。
ーー印象に残っている案件などはありますか?
井上:クライアントにヒアリングをしたうえで、僕が書面をまずドラフトし、島内先生に確認してもらうという案件がありました。ただ、当初僕が行ったヒアリングが、クライアントの目線に立った行動をすることができていなかったと実感する出来事がありました。結果的に島内先生にフォローしていただきましたが、島内先生への事前の相談も足りず、進め方を間違えたなと、苦い印象が残っています。
島内:この案件で、僕はサポートに徹し、井上くんには持ち前の主体性をもって対応してもらっていました。自分の経験をもって学びを得たほうが、今後に役立つと思ったんです。弁護士業務では、書面の作成のみならず、コミュニケーションなども重要になってきます。様々な点で気付きを得てくれたのは良かったと思います。
まずは弁護士としての実力をつけたい
ーー最後に、井上先生が今後チャレンジしたいことを教えてください。
井上:漠然とですが、「クライアントや事務所にプラスの影響を与えられるように、弁護士としての実力をつける」というところに注力していくべきだと考えています。島内先生を2年以内に超えるというのもひとつ目標にしています。
島内:井上くんには、成長の機会をたくさん提供してあげたいと思っているので、メンターとしてその助けになれればと思います。
井上くんの仕事に対する主体的な姿勢を持ち続けていけば、必ずや良い弁護士になれると思います。新たなサービスを作るなど様々なチャンスがある事務所なので、早いうちから主体的に動いてもらって、もっと面白い事務所に変えていって欲しいなと思います。
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※記事の内容は掲載当時のものです(掲載日:2022年11月30日)
(編集:高田侑子、中村渚、ZeLo LAW SQUARE 編集部 写真:根津佐和子)