[Breaking News] Practical Measures for Companies in Light of the First Recommendation under the Freelancer Act

弁護士・ニューヨーク州弁護士、国際法務部門統括
野村 諭

弁護士
高橋 尚子

弁護士
近澤 璃希
![[Breaking News] Practical Measures for Companies in Light of the First Recommendation under the Freelancer Act](https://zelojapan.com/wp/wp-content/uploads/2025/06/bd758e8c93bc0bd602770ce248811c30-608x336.jpg)
36協定の上限時間管理と長時間労働の防止はIPO準備において重要な論点の1つです。36協定で定めた時間を超えて法定時間外労働をさせることはできず、もし超えて労働させた場合には、労働基準法32条違反になります。一方、長時間労働は過労死などの重大な事故の原因になりうるため、IPO準備においても、事故が発生しないように、残業時間の管理を徹底するなどの長時間労働防止措置をとることが重要です。連載最終回となる今回は、IPO準備での36協定上限時間管理と長時間労働防止策の重要性について解説します。
目次
36協定の上限時間、特別条項の概要
【原則】
月45時間、年360時間
【特別条項】
時間外労働が年720時間以内
時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
時間外労働と休日労働の合計について2カ月~6カ月が全て1カ月あたり80時間以内
時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6カ月が限度
36協定の上限時間を超える労働は労働基準法違反になります。労働時間管理を適切に行い、残業時間が36協定で定めた時間を超えないようにしなければなりません。IPO準備においては、例えば、次のような措置をとることが重要です。
上限時間を超えそうなタイミングで労働者に通知する等
長時間労働は健康障害を引き起こし、労働災害をはじめ、様々な事故の原因になると考えられます。
(ア) 労災認定の基準
【長期間の過重業務】
【参考】厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定」
発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間な いし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合
労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮
【短期間の過重業務】
発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合、発症前おおむね1週間継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合
労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮
【異常な出来事】
極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす事態、 急激で著しい身体的負荷を強いられる事態、急激で著しい作業環境の変化
(イ) 産業医の面談等
【長時間労働を対象とする面接指導】
月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労の蓄積が認められる者(高度プロフェッショナル制度適用者を除く労働者)
上記に加えて、月100時間超の時間外・休日労働を行った者(研究開発従事者)
1週間あたりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について月100時間を超えて行った者(高度プロフェッショナル制度適用者)【高ストレス者を対象とする面接指導】
【参考】厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
ストレスチェックの結果、高ストレスであり、面接指導が必要であるとストレスチェックの実施者が判断した者
IPO準備では、長時間労働の発生を防止するために、例えば、次のような措置をとることが重要といえます。
IPO審査の時に求められる主な質問は次の通りです。上記のような措置が、36協定違反や長時間労働の防止につながります。早めに対策を講じて、しっかりと質問に応えられるように万全な労務管理体制を整えていきましょう。
▪新規上場申請のための有価証券報告書(IIの部)
(36協定違反の状況)
最近1年間及び申請事業年度において36協定(特別条項を締結している場合には当該条項の内容)に違反している従業員が存在する場合、違反事由別に事業年度及びセグメント・職種ごとの延べの違反人数、発生原因を記載してください。
(長時間労働の防止)
長時間労働の防止のための取組みについて記載してください。e(筆者:上記、36協定違反の状況)で違反事象を記載した場合は、その原因分析を踏まえた再発防止策にも言及してください。
▪新規上場申請者に係る各種説明資料
- 最近1年間及び申請事業年度において、36協定(特別条項を締結している場合には当該条項の内容)に違反している従業員が存在する場合、当該従業員の時間外労働の状況
- 長時間労働の防止のための取組み
スタートアップ企業が上場をするためには、証券取引所および証券会社が行う上場審査において承認を受ける必要があります。しかし、上場審査事項は多岐にわたり、申請を目指す企業での作業量が多いうえに、専門的な知識なども必要なため、難航する企業も少なくありません。万が一体制が不十分だった場合、上場審査が通らないこともあるため、前もって上場審査に備える必要があります。
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