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多様な分野の専門家が切磋琢磨するプログラム。国際紛争解決の講義を振り返って。

法律事務所ZeLo・外国法共同事業のジョエル・グリアー外国法事務弁護士(原資格国:米国コロンビア特別区)は、2022年7月に、一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻・グローバルビジネスロー(GBL)プログラムにおける3ヶ月間の国際紛争解決に関する講義を終えました。グリアー弁護士が、同プログラムの教鞭をとるのは、これで3度目です。グリアー弁護士に、プログラムを終えての想いを伺いました。

多様な分野の専門家が切磋琢磨するプログラム。国際紛争解決の講義を振り返って。
DISPUTE-RESOLUTION
PROFILE
Joel Greer

US Lawyer

Joel Greer

In his 20 years of practice, Joel has represented Asian, European, and North American companies in numerous international arbitration or pre-arbitration matters, including under the rules of the International Chamber of Commerce, Japan Commercial Arbitration Association, and London Court of International Arbitration, as well as in international mediation under the rules of the Singapore International Mediation Centre. These matters have concerned disputes arising from licensing agreements, construction contracts, joint venture agreements, and sales and purchase agreements, among others. More recently, Joel has advised on space law and policy matters, as well as geotechnology issues.

Naoko Tokumoto

Attorney admitted in Japan, US lawyer

Naoko Tokumoto

Graduated from the University of Tokyo, School of Law (J.D., 2011), Columbia Law School (LL.M., 2019), passed NY Bar Exam (Registered in 2022). Experience at Jones Day (2013-2019), Ministry of Foreign Affairs, International Legal Affairs Bureau, Economic Treaties Division (2019-2021), and joined ZeLo (2022-). Main areas of practice include domestic and cross-border transactions, competition law, general corporate governance, compliance, public affairs, IP, and real estate.

グローバルに活躍するビジネスパーソンを育てる。一橋大学大学院のプログラム

今年の7月、私は一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻・グローバルビジネスロー(GBL)プログラムにおける国際紛争解決に関する3ヶ月間の講義を終えました。このプログラムの教鞭をとるのは、今回で3度目です。最初の2019年の秋の際には、一橋大学の千代田キャンパスで対面での講義を行いました。翌2020年はコロナの影響で、全講義をリモートで実施することとなりました。今回は、ゴールデンウィークの直前までリモートでの講義を行い、その後は対面での講義を行うというハイブリッドの形式となりました。こうしたさまざまな形式の講義に対応するために、技術的な課題などにうまく対応してくれたビジネスロー専攻のスタッフに敬意を表します。

GBLの講義は英語で行われ、民間企業や公的機関で働きながら、国際ビジネス法の知識を深めるために法学修士号の取得を目指している専門職が主な対象です。講義は夜間と週末に行われ、一定の条件を満たすことで国際ビジネス法の修了証を取得することができます。(GBLプログラムについての詳細は、https://www.law.hit-u.ac.jp/bl/を参照ください)。前回は、私が担当した紛争解決の講義に加え、契約書作成・データプライバシー・証券・法律英語などのGBLクラスが開講されました。

積極的な議論や模擬仲裁の実践を通して伝えた、国際仲裁のリアル

私が教鞭をとったコースは、国際商事仲裁をメインに、国際調停にも触れており、これらは、私が長いあいだ専門としてきた領域です。受講生は、実際に仲裁に関わった経験はほとんどないものの(そのような紛争を経験せずに済んでいるというのは幸運なことです) 、見聞きをしたことはあり、国境をまたいだ商事紛争の解決方法を学ぶことに高い関心を持っていました。(国際仲裁について詳しく知りたい方は、 下記に掲載されている記事を参照ください)。

英文契約の紛争解決条項

英文契約の紛争解決条項

英文契約の紛争解決条項 ー国際仲裁に関するFAQー

英文契約の紛争解決条項 ー国際仲裁に関するFAQー

英文契約の紛争解決条項 ーニューヨーク条約に基づく外国仲裁判断の執行ー

英文契約の紛争解決条項 ーニューヨーク条約に基づく外国仲裁判断の執行ー

概観すれば、本コースは国際仲裁の「原則」と「実務」に関する入門講座です。コースの前半では、主に仲裁に関する国際条約や国内法の枠組み、仲裁規則・手続・機関に関する資料を読んで、議論しました。また、仲裁条項の作成や、仲裁判断の承認と執行といった問題についても検討しました。私は自分が一方的に講義をすることはあまり好まないので、受講される方々にできるだけクラスの議論に参加してもらっています。

コースの後半では、日本企業と外国企業の間での模擬的な商事契約に係る紛争のシナリオを想定して、各事実に基づいて、実際に仲裁に参加してもらうことで実務の一端を感じてもらいました。日本における契約法上の原則と、日本商事仲裁協会の規則を参考に、申立人側と被申立人側のグループに分かれ、それぞれのケースと主張を記した提出書面の作成、書面要求の準備、そして短い口頭審理を行いました。これらの課題は、受講生が法的分析力と弁護能力を養い、仲裁プロセスへの理解を深めることを狙いとしたものです。

さらに、受講生が仲裁関連で関心を有しているテーマのリサーチを行い、最後の講義で全体に向けて20分間のプレゼンテーションをしてもらいました。受講生は、あらかじめ準備されたリストからテーマを選択することもできますし、希望があれば、独自のテーマを設定して発表してもらうようにしました。

全体として、私の本コースでの目的は、国際仲裁の研究における「概念」的な側面と「応用」的な側面を織り交ぜて受講生たちに紹介することでした。私にとっても非常に楽しい経験となり、本コースを受講した、様々な分野の専門家と知り合うことができたのは、たいへん素晴らしい経験でした。


本記事は、当事務所のジョエル・グリアー外国法事務弁護士(原資格国:米国コロンビア特別区)による英語記事“ Teaching International Dispute Resolution to Japanese Professionals at Hitotsubashi University Graduate School of Law ”の和訳記事です。英語版と日本語版に何らかの齟齬があった場合、英語版が優先するものといたします。

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