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インドネシア・オムニバス法のもとでの現地販売会社のアポイント義務

2020年のインドネシア・オムニバス法の成立と、2021年3月4日施行の新しい優先投資先リストを含む履行規則の制定(投資分野に関する2021年大統領規則10号)を受けた、インドネシア政府の対応について解説します。

インドネシア・オムニバス法のもとでの現地販売会社のアポイント義務
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PROFILE
野村 諭

弁護士・ニューヨーク州弁護士、国際法務部門統括

野村 諭

1997年東京大学法学部卒業、2000年弁護士登録(東京弁護士会所属)。2020年法律事務所ZeLoに参画。主な取扱分野は、ジェネラル・コーポレート、投資案件、スタートアップ支援、ファイナンス、不動産、金融その他の規制法対応など。国内案件のほか、海外案件・英文契約の案件などについても、多数対応している。

フィエスタ ヴィクトリア

インドネシア法弁護士

フィエスタ ヴィクトリア

2006年ペリタ・ハラパン大学卒業。2019年法律事務所ZeLo参画。 主な取扱分野はM&A、ジェネラル・コーポレート、人事労務、フィンテックなど。 インドネシア支持者協会PERADIのプロフェッショナル会員であり、執筆も数多く手掛けている。ALB Women in Law Awards 2021 - Business Development Lawyer of the Year を受賞。

オムニバス法の成立前および関連規則制定前

2020年11月2日付での「雇用創出に関する2020年法律第11号」(以下、「オムニバス法」)の成立と、それに関する施行規則である「販売分野の履行についての2021年政府規則第29号」(以下、「政府規則29号」)の制定より前(2021年2月3日施行 政府規則29号)までは、外国の卸売販売への投資会社(以下、「外国資本販売会社」)は、その商品の現地での販売会社又は代理店として、100%現地資本が保有する現地の販売会社(「現地販売会社」)をアポイントする必要がありました。これは、当該現地販売会社のみが小売店に対して商品を販売する(さらに、当該小売店が消費者へ商品を販売する)ことが認められていたからです。

オムニバス法成立および関連規則制定後

オムニバス法の成立と、新しい優先投資先リストを含む履行規則の制定(2021年3月4日施行 投資分野に関する2021年大統領規則10号)を受けて、インドネシア政府は、以前には外国資本の制限や禁止の対象であった販売及び小売に関するいくつかのセクターについて、外国主体が100%株式投資し、保有することを認めるに至りました。これらのセクターには、自動車や商用車などのスペア部品やアクセサリーの卸売販売(当該販売が会社の中核的事業に関係しない場合)及び小売が含まれています。

法律事務所ZeLo・外国法共同事業では、オムニバス法の立法を受けてなお「商品・サービスに関する代理店・販売会社登録手続ガイドラインに関する商業大臣規則2006年11号」(Minister of Trade Regulation No. 11/M-Dag/PER/3/2006、以下、「商業大臣規則2006年11号」)にしたがって、外国資本販売会社が現地販売会社をアポイントすることを求められるのかどうか、多くの質問を受けています。オムニバス法や政府規則29号は、この問題の結論や、現地販売会社のアポイント義務の廃止などには言及していません。

今後の展望

ただ、インドネシア政府によるこの点についての運用が、オムニバス法の主たる目的である、インドネシアへの直接的な外国投資をより促進し、(中小零細企業を除く)国内保有企業の保護規制を緩めること、に則して行われるのであれば、外国資本販売会社が現地販売会社をアポイントする義務は、もはや関係ないことになるはずです。

それにもかかわらず、政府が商業大臣規則2006年11号を廃止するか、この点についての結論に繋がる他の個別の規則を制定するまでの間は、インドネシア外の当事者は、適切なインドネシアの投資・販売規制当局に投資前に相談をすることをお勧めします。とりわけ、外国主体がリテールに対して直接販売をしようとする場合は、特にそうなります。

一般に、上記のように、ある種の外国による株式保有がよりフレキシブルになったとしても、オムニバス法には明示されていない他のテクニカルな要件が販売分野にはあり、外国の当事者としては関係する販売事業分野に応じてそれを遵守する必要があります。

上記に関して、さらにご関心がございましたら、こちらからご連絡ください。


本記事は、当事務所のFiesta Victoria 外国弁護士(インドネシア、日本では未登録)による英語記事 “Requirement to Appoint Local Trading Company under Indonesia’s Omnibus Law” を野村諭弁護士・ニューヨーク州弁護士が和訳した記事です。英語版と日本語版に何らかの齟齬があった場合、英語版が優先するものといたします。

本記事の情報は、法的助言を構成するものではなく、そのような助言をする意図もないものであって、一般的な情報提供のみを目的とするものです。読者におかれましては、特定の法的事項に関して助言を得たい場合、弁護士にご連絡をお願い申し上げます。

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