インドネシアが「外国公文書の認証を不要とする条約」を批准
弁護士・ニューヨーク州弁護士、国際法務部門統括
野村 諭
インドネシア法弁護士
フィエスタ ヴィクトリア
インドネシアは、2021年大統領規則2号により「外国公文書の認証を不要とする条約」を批准し、国外で使用するインドネシアの公文書の認証手続を簡素化するため、アポスティーユ制度を導入しました。その後、インドネシア政府はアポスティーユ業務に関する施行制度の整備を継続しており、直近では2025年法務人権大臣規則50号が制定されています。本記事では、アポスティーユの対象となる文書、適用除外およびアポスティーユ証明書の取得手続を含む、インドネシアにおける現行のアポスティーユ制度の概要を解説します。
1997年東京大学法学部卒業、2000年弁護士登録(東京弁護士会所属)。2020年法律事務所ZeLoに参画。主な取扱分野は、ジェネラルコーポレート、投資案件、スタートアップ支援、ファイナンス、不動産、金融その他の規制法対応など。国内案件のほか、海外案件・英文契約の案件などについても、多数対応している。
アポスティーユとは、ある文書を他国で使用するために確認・証明する方法であり、主に、「外国公文書の認証を不要とする条約」(1961年10月5日のハーグ条約)(「認証不要条約」)に基づく加盟国間の合意によって設けられている制度です。
外国公文書についての大使または領事による認証手続には時間がかかるといわれますが、認証不要条約の目的は、かかる認証手続を不要にし、所定の様式で発行されるシンプルな証明書(「アポスティーユ証明書」)を取得することで足りるようにすることです。
このアポスティーユ証明書が文書に付されれば、追加の認証を経ることなく、当該文書を他の認証不要条約加盟国で使用することができるようになります。
2021年1月5日、インドネシアは2021年大統領規則2号(「2021年大統領規則2号」)により認証不要条約を批准しました。この批准を受けて、インドネシア政府は、アポスティーユ証明業務をさらに規律する一連の施行規則を制定しており、直近では、2025年法務人権大臣(「MOLHR」)規則50号(「2025年MOLHR規則50号」)が制定されています。
2021年大統領規則2号の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
インドネシアで発行された、以下に規定する「文書」は、他の本条約加盟国で使用する場合、アポスティーユを行うことになります。
ここでいう「文書」とは、書面、印刷物または電子文書の形式による公文書であって、権限を有する公務員がその記載情報を証するものとして署名したもの、および/または公印もしくは印章が付されたものを意味します[1]。
「文書」には、以下のものが含まれます。
以下の文書については、アポスティーユを行うことは求められません。
インドネシア国内でのアポスティーユ証明業務は、法務人権大臣が、法務人権省の公法行政総局(Directorate General of Public Law Administration)(「総局」)を通じて行います。
アポスティーユは本人か代理人がオンラインで申請できます。その際に提出する書類は、(1)申請様式(総局のウェブサイトで入手できます)、(2)添付資料(申請者の身元証明カード。代理申請の場合は委任状と代理人の身元証明カード)、および(3)アポスティーユの対象文書です。
提出書類に不備がなければ、提出から3営業日以内に確認対応されます。確認手続が完了すると、総局は正式なアポスティーユ手数料の支払案内を発行します。申請者による手数料の支払後、総局は、申請者に対し、アポスティーユ証明書を受け取り、アポスティーユ対象文書を提示するよう、電子的に通知します。
上記に関して、さらにご関心がございましたら、こちらからご連絡ください。
[1]2025年MOLHR規則50号1条3項
本記事は、当事務所のFiesta Victoriaインドネシア法弁護士(日本では未登録)による英語記事“ INDONESIAN LAW UPDATE: Apostille Certification of Indonesian Public Documents ”の和訳記事です。英語版と日本語版に何らかの齟齬があった場合、英語版が優先するものといたします。
この記事で提供されている情報は、法律上のアドバイスを構成するものではなく、一般的な情報提供のみを目的としています。特定の法的問題に関してアドバイスを求める場合は、弁護士にお問い合わせください。