カオスな環境に飛び込む。ー弁護士 島内洋人
ZeLo Lawyer’s noteでは「ZeLo Lawyer's Story」と題する連載を始めることになりました。この連載では、ZeLoのメンバーがどんな想いをもってZeLoにジョインしたのか、どんな未来を描いているのかをお伝えしていきます。 トップバッターは、新卒でZeLoにジョインした島内洋人弁護士です。
2017年東京大学法学部卒業、同年司法試験予備試験合格。2018年司法試験合格。2019年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。2020年法律事務所ZeLo参画。クロスボーダー取引を含むM&A、ストック・オプション、スタートアップ・ファイナンスなどコーポレート業務全般を手掛けるほか、訴訟/紛争案件も担当。また、AI、web3、フィンテックなどの先端技術分野への法的アドバイスを強みとする。主な論文に「ステーブルコイン・DeFiとCBDC」(金融・商事判例1611号、2021年)、「スタートアップの株主間契約における実務上の論点と対応指針」(NBL 1242(2023.5.15)号)など。
目次
プロフェッショナルへの憧れ
弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。
学生の頃から漠然とプロフェッショナルとして生きたいと考えていました。特定の分野の技能・能力を徹底的に磨き上げ、高い職業意識をもって自律的に動き、成果を上げる。そんな生き方に憧れていました。どうせ人生が一度しかなく、かつ何十年も働くのであれば、そういう生き方の方が絶対に面白いし、何よりかっこいいと思っていたのです。
一言にプロフェッショナルといっても、医師から料理人まで、様々な分野のプロフェッショナルがいます。私は、社会のシステム、さらに言うと世界で数十億もの見知らぬ人間同士が協力することを可能にしている様々な仕組みに興味がありました。大学で法学部に進んだものの、特に経済学・金融に興味が強く、ミクロ経済学やゲーム理論、ファイナンス理論を勉強していました。そこで、自然な流れとして金融分野のプロフェッショナルを目指そうかと考えたこともありました。しかし、金融機関で働く方から実際に話を伺うと、なんとなくピンと来なかったのです。本の中での金融の世界と実務の金融の世界の違いもあったのかもしれません。
一方で、法のプロフェッショナルとしての弁護士の道も頭にありました。弁護士の方の話を伺うと、高い専門性を持ち、自由と責任を持って活き活きと仕事をされている様子をイメージすることができました。また、個人的に、法が社会において果たす役割はこれからどんどん拡大していくはずだと予想していたので、面白いことができそうだと感じ、弁護士を目指すことにしました。
リーガルテック×法律事務所との出会い
ZeLoはどうやって知ったのですか?
ZeLoとの最初の出会いは、私が司法試験を受ける前年の2017年に、友人からの紹介でZeLoの小笠原弁護士、角田弁護士と話をする機会があったことです。そこで小笠原弁護士から、「これからリーガルテックを用いた次世代のリーガルサービスを生み出していく」という話を聞いて衝撃を受けたことを覚えています。
今でこそリーガルテックは法曹業界での注目度も一定程度あり、大手法律事務所を含む様々なプレイヤーがリーガルテック領域での取り組みを行っていますが、2017年当時、リーガルテックという言葉はまだまだ注目度が低く、表立って動いているプレイヤーも少ない状況でした。
一方でその頃、GoogleのAlphaGoが中国のトップ囲碁棋士を打ち負かして話題になるなど、AI技術の進展のニュースが盛んに流れ、世間は第3次AIブームの真っ只中でした。SFが好きだったこともあり、個人的にAIには興味があったので色々調べていたのですが、AIはどうやらコンピュータの情報処理の方法を旧来のソフトウェアと全く異なる形で実現させ、人間の情報処理作業を代替する可能性を持つものであるということが分かってきました。これは弁護士業にも影響が及ぶことは避けられないだろうな、むしろ積極的にこれを取り入れて全く新しい形の法律事務所を作ったら面白そうだな、などと色々妄想していたのです。
そんなタイミングで小笠原弁護士、角田弁護士と出会い、大手事務所を飛び出してリーガルテックをやっているという話を聞いたので、どんなことをやっているのか、どんな世界を目指しているのか強く興味を持ちました。インターンに来ないかと誘っていただき、その夏にZeLoでインターンをしました。
創業当初のZeLoでのインターン「新規リーガルテックサービスを立案し、プレゼンせよ」
ZeLoのインターンではどんなことをしたのですか?そのときの印象は?
2週間のインターンだったのですが、課題を与えられ、最終日に発表を行うという形式でした。与えられた課題は、「新規リーガルテックサービスを立案し、プレゼンせよ」というものでした。法律事務所のインターンですが、法律問題は全く関係なく、純粋にビジネスの課題でした(笑)。
完全に自由なインターンだったので、方法・アプローチから自分で考えることができ、非常に楽しかったです。サービスとして成立するためには顧客からのニーズがあることが絶対条件で、事業サイドが作りたいものを作っても意味がないと考え、企業の法務部の方にTwitter経由等でアポを取り、ヒアリングをさせていただいたりもしました。自発的に動くことで自分の提案するサービスのクオリティが向上する感覚があり、充実感がありました。
2017年当時のZeLoは、茅場町の雑居ビルの小さなオフィスで、弁護士も小笠原弁護士と角田弁護士の2名だけ、専門の事務スタッフの方もおらず、学生のインターンが手伝っているという状況でした。オフィスにはいつも男しかおらず、むさ苦しくて、高校の部室のような雰囲気だったのを覚えています(笑)。現在では日比谷のオフィスに移転し、弁護士・弁理士の数は20名近く、パラリーガルの方やスタッフの方も複数所属していますが、当時の状況は大きく異なっていました。
そのような決して整っているとは言い難い環境の中で、これからのリーガルサービスはどうあるべきか、リーガルテックの事業をどのように構想していくかといった大きい話から、具体的案件の方針についての議論まで、皆で日夜熱く議論し、意見を交わしていました。皆で議論をするカルチャーは、弁護士全員が参加する事務所戦略ミーティングや、インターンの学生の方の課題発表後の質疑時間における議論まで、今も事務所の様々なところに息づいています。私は議論が好きなので、こういったZeLoの雰囲気はとても気に入りました。
「リーガルサービスを変革する」ビジョンに共感。カオスで変化に富んだ環境へ飛び込む
新卒で新興事務所のZeLoに入所しようと思ったのはなぜなのでしょうか?
インターン最終日の課題発表を終えて、小笠原弁護士・角田弁護士からぜひ新卒でうちに来ないかと誘われました。ありがたいことに名門と言われるような他の法律事務所からもオファーをいただきましたが、最終的には当時まだできて1年程度だったZeLoに新卒で入所することを決めました。
ZeLoは事務所としてのビジョンを真剣に掲げる稀有な法律事務所です。「次世代の法律事務所の形を提示し、イノベーションによりリーガルサービスのレベルを向上させる」というZeLoのビジョンに私は共感し、こういう高い目標の実現を目指して働けたらきっと張り合いのある人生になるに違いないと思いました。
また、カオスで変化に富んでいる点も魅力でした。新興事務所が「リーガルサービスを変革する」といったような高い目標を実現するためには、常に変化し続けチャンスをつかむ以外に途はありません。ZeLoは新しいサービスラインの構想やテクノロジーの導入など、絶え間なく変化を志向していて、面白そうな環境だと思いました。
もちろん、新卒でまだまだ創業期のZeLoに入所することは、一定のリスクを伴う行為であることは認識していました。ファーストキャリアは大切だから、はじめは名門法律事務所に入っておいた方がいいのではないか等のアドバイスもいただきました。自分でもワーストケースのときにどうなるかくらいは考えましたが、弁護士資格があればさすがに飢え死ぬことはないだろうと思いました。
そこで、共感できるビジョンがあり、それを本気で実現しようとする人間が集まっている環境に飛び込むチャンスがあるのならば、勝負した方が面白いだろうと考え、ZeLoに入所することを決めました。
高度なリーガルサービスが行き届いた世界の実現へ向けて
これからチャレンジしていきたいことはありますか?
クライアントに提供するリーガルサービスの質を向上させるためにどうすればいいのか、伝統的な弁護士業の在り方に囚われず、学問や他業種における考え方も学びながら、愚直に考え続け、サービスの質を磨き続けたいと考えています。
また、分野としては金融×テクノロジーという文脈から、ブロックチェーンに興味があります。金融は法が非常に重要な分野なので弁護士の役割も大きいと思われ、ブロックチェーン等のテクノロジーによる経済活動のデジタル化を推進すべく、弁護士として積極的に関わっていきたいと考えています。
※記事の内容は掲載当時のものです(掲載日:2020年4月17日)