環境分野のライセンスや手続のオムニバス法による簡素化:2021年政府規則22号
2021年2月2日、インドネシア政府は、オムニバス法(雇用創出に関する法律2020年第11号)の環境分野に関する施行規則である「環境保護・管理に関する政府規則2021年第22号」(以下「2021年政府規則22号」)を制定しました。2021年政府規則22号は2021年2月に発効しています。環境分野で必要とされる許認可や他の手続きが簡素化され、環境許可証に関する従来の2012年政府規則27号は廃止されました。 2021年政府規則22号による変更で注目すべき点は、以下の通りです。
1997年東京大学法学部卒業、2000年弁護士登録(東京弁護士会所属)。2020年法律事務所ZeLoに参画。主な取扱分野は、ジェネラル・コーポレート、投資案件、スタートアップ支援、ファイナンス、不動産、金融その他の規制法対応など。国内案件のほか、海外案件・英文契約の案件などについても、多数対応している。
環境許可証
オムニバス法の制定前は、企業が事業ライセンスを取得するための前に、環境許可証を取得することが求められていました。オムニバス法と2021年政府規則22号の下では、別途の環境許可証を取得する必要がなくなり、環境許可証は、企業の事業ライセンス(perizinan berusaha)に統合されました。これにより、企業は事業ライセンスを取得する前に、以下で述べる環境影響調査に関する書類を作成するだけでよいことになりました。
環境許可証が事業ライセンスに統合されたことで、環境に関する違反に課せられる制裁が例えば事業ライセンスの取消となるなど、企業の事業ライセンスの状況に直接影響を与える可能性があります(従来は、環境許可証の取消でした。)。
環境影響調査
オムニバス法の制定は、企業の事業や運営行為が環境に与える潜在的な影響を評価するため、以下の文書のいずれかを作成することが求められていました。
- (活動が環境に重大な影響を与える可能性がある事業の場合)環境影響分析書(「AMDAL」)形式の包括的な環境影響調査、または
- (上記aに該当しない事業の場合)環境管理/環境モニタリングプログラム(「UKL-UPL」)形式の環境影響調査
企業の活動の環境影響リスクが低いために上記のAMDALやUKL-UPLが必要ない場合、政府は、企業に環境管理・モニタリング態勢に関する誓約書(Surat Pernyataan Kesanggupan Pengelolaan dan Pemantauan Lingkungan Hidup、「SPPL」)の提出を求めることができました。
オムニバス法と2021年政府規則22号は、これらの要件を以下のように簡略化しました。
- UKL-UPL を遵守している証拠として、環境管理についての誓約書を提出するよう企業に求めること、および
- SPPLを企業のビジネスアイデンティティ番号(Nomor Induk Berusaha:NIB)と統合すること
この結果、①環境に重大な影響を与える可能性のある事業活動についてはAMDAL、②環境に影響を与えない事業活動については誓約書、のいずれかが必要となるだけとなりました。これによって、従来はSPPLの提出が必要だった企業も、NIBを取得すれば事業活動を開始することができるようになりました。
上記に関して、さらにご関心がございましたら、こちらからご連絡ください。
本記事は、当事務所のFiesta Victoria 外国弁護士(インドネシア、Not admitted in Japan)による英語記事 “Omnibus Law simplifies the licensing and certain other procedures required in the Environmental Sector: Government Regulation No. 22 of 2021” を野村諭弁護士が和訳した記事です。英語版と日本語版に何らかの齟齬があった場合、英語版が優先するものといたします。
この記事で提供されている情報は、法律上のアドバイスを構成するものではなく、一般的な情報提供のみを目的としています。特定の法的問題に関してアドバイスを求める場合は、弁護士にお問い合わせください。