インドネシアへの投資を活性化させるOSS(オンライン・シングル・サブミッション)システムとは
2017年9月¹にインドネシア政府がOSSシステムを導入してから約3年が経過しました。現在の進捗状況についてご説明します。
OSSシステムとは、インドネシアにおけるビジネスライセンスの手続を簡素化・迅速化し、より多くの直接投資を誘致するために設計されたインドネシア政府によるウェブベースのプラットフォームです。
官僚側の手続きが長引く、行政機関間の連携が取れていない、情報の透明性に欠けている、など多くの問題のあった許認可手続きの解決策になるのがOSSシステムです。
インドネシア経済への直接投資の実現を阻む重要なボトルネックの一つは、投資家が投資ライセンスを取得するまでに必要な、膨大な量の事務処理です。OSSプラットフォームを活用することで、インドネシアでの事業ライセンス取得の手続をより効率的に、より簡単に、より時間をかけずに(数時間で)できるようになります。
移行段階では、OSSシステムの運用は経済調整省が担当していました。しかし、この機能は2019年1月2日付で投資調整庁(BKPM)に完全に移管されました。
その後、OSSプラットフォームは事業主がライセンスを申請するために利用できるようになりました。しかし、OSSプラットフォームを完全にサポートし、運用するためには、まだいくつか改善するべき点があります。これを実現するために、政府は、OSSシステムを通じたビジネスライセンスサービスのガイドラインとして、「統合電子ビジネスライセンスサービスの実施に関するガイドライン:2020年投資調整庁規則第1号」(以下、「BKPM規則第1/2020号」)²を含む一連の新しい規則を発行しています。
BKPM規則第1/2020号は、2020年3月30日に発令され、2020年4月1日に施行されました。主な変更点は以下の通りです。
(i) OSSシステムの下でのビジネスライセンスの処理方法と取得方法に関する、ビジネスアクターのためのより詳細なガイドライン。
(ii) 卸売業、食品・飲料などの特定の事業分野に対する最低投資要件の緩和
(iii) 事業主が一定の要件を満たすことを条件に、個別の支援プロジェクトを持つ可能性
(iv) OSS システムで発行される事業許可証の種類及び商業・営業許可証の新たな分類
(v) OSSシステムで発行される合併ライセンスに関する新たな要件
事業主は、事業を開始する前に、この規定の要件を慎重に検討することが非常に重要になります。
本記事は、弊所弁護士のFiesta Victoriaによる英語記事“WHAT YOU NEED TO KNOW ABOUT INDONESIA’S ONLINE SINGLE SUBMISSION (“OSS”) SYSTEM“の和訳記事です。英語版と日本語版に何らかの齟齬があった場合、英語版が優先するものといたします。
¹Presidential Regulation No.91 of 2017 on the Acceleration of Business Implementation and the Government Regulation No. 24/2018 on the Electronically Integrated Business Licensing Service.
²Mandated by Government Regulation No. 24 of 2018 on Electronic Integrated Business Licensing Services and Presidential Instruction No. 7 of 2020 on Acceleration of Ease of Doing Busines.
本記事の情報は、法的助言を構成するものではなく、そのような助言をする意図もないものであって、一般的な情報提供のみを目的とするものです。読者におかれましては、特定の法的事項に関して助言を得たい場合、弁護士にご連絡をお願い申し上げます。