THE INDONESIAN GOVERNMENT WILL IMPLEMENT A “NEW NORMAL” POLICY TO DEAL WITH THE COVID-19 SITUATION

インドネシア法弁護士
フィエスタ ヴィクトリア

2020年10月5日、インドネシア国民議会(DPR)は雇用創出オムニバス法(以下「オムニバス法」という)と呼ばれる雇用創出法の草案を承認しました。オムニバス法は、投資や労働・環境権の問題など、インドネシア経済の多くの側面に影響を及ぼすことが予想されることから、2020年に草案が発表されて以来、話題となっています。
1997年東京大学法学部卒業、2000年弁護士登録(東京弁護士会所属)。2020年法律事務所ZeLoに参画。主な取扱分野は、ジェネラルコーポレート、投資案件、スタートアップ支援、ファイナンス、不動産、金融その他の規制法対応など。国内案件のほか、海外案件・英文契約の案件などについても、多数対応している。
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、法案がインドネシア国民議会によって可決されてから1か月後の2020年11月2日(月)に正式に署名をし、オムニバス法が成立しました。インドネシアでは、可決された日から30日以内に大統領が署名することで新しい法律が施行されます。しかし、実際には大統領の署名がなくても、インドネシア国民議会(DPR)で可決された日から30日で自動的に法律が施行されます。
オムニバス法は、一度に75以上の既存の法律を改正し、ビジネスや投資に対し好ましくないとされていた数千もの規制を撤廃します。これらの改正と撤廃は、法の施行後3か月以内に実施することが義務付けられています。
インドネシアへの外国投資を支援し、インドネシア経済を活性化させるという前向きな意図が背景にあるにもかかわらず、オムニバス法が可決された日から、インドネシア全土で労働者や学生を中心とする大規模な抗議活動やデモが起こっています。これは、オムニバス法の一部の条項が、労働者や環境保護の権利を剥奪すると考えられているためです。しかし、政府はこの法律は、新型コロナウイルスの流行に苦しむインドネシア経済のためになると信じています。
投資を誘致し、新たな雇用を創出し、非効率な官僚主義的手続きを撤廃し、様々な法律や規制をシンクロナイズさせることで経済を刺激することに加え、この法律はインドネシアの投資、労働、環境規制に大きな変化をもたらします。
投資分野の大きな変化により、投資に関する多くの煩雑な要件や制限が解消されます。例として
インドネシアの投資環境を、特に外国人投資家にとって魅力的なものにするために、多くのインドネシアの労働者寄りの規則が取り除かれています。いくつかの例を紹介します。
オムニバス法は環境基準を緩和し、プロジェクトが高リスクとみなされる場合にのみ、環境影響分析の提出を要求し、環境評価要件とライセンス手続きを簡素化します。
本記事は、当事務所のFiesta Victoria 外国弁護士(インドネシア、Not admitted in Japan)による英語記事 “THE OMNIBUS LAW IMPACT ON INDONESIAN LEGAL FRAMEWORK” の和訳記事です。英語版と日本語版に何らかの齟齬があった場合、英語版が優先するものといたします。
本記事で提供されている情報は、法律上のアドバイスを提供するものではなく、一般的な情報提供を目的としています。本記事をもとに、特定の法的問題に関してアドバイスをご希望の場合は、弁護士にお尋ねください。