多様な事業の成長を支える法務。ZeLoの「契約書アウトソーシングサービス」で実現する戦略的リーガルマネジメント―森永乳業株式会社
弁護士
金子 順事
弁護士、契約書アウトソーシング部門統括
高井 雄紀
阪急阪神マーケティングソリューションズ株式会社は阪急阪神東宝グループの広告代理店で、大阪(本社)・東京・博多・神戸に拠点を有しています。同社では、契約書対応や知的財産関連業務、内部統制対応などを少人数の法務体制で担う中で、難度の高い案件へのスピーディーな対応や社内の広告審査体制の構築を課題としていました。本記事では、同社法務責任者の井上様に、ZeLoを導入した背景や活用方法、導入後の変化、今後の展望についてお話を伺いました。聞き手を務めるのは、同社をサポートする伊藤敬之弁護士と安富有輝弁護士です。
2011年京都大学法学部卒業、2013年京都大学法科大学院修了、同年司法試験合格。2014年弁護士登録(大阪弁護士会)。2015年弁護士法人色川法律事務所入所。2020年消費者庁表示対策課出向。2022年4月法律事務所ZeLo参画。主な取扱分野は、M&A、パブリックアフェアーズ、ジェネラルコーポレート、事業再生・倒産、訴訟・紛争解決、データ保護、危機管理、人事労務など。
業界:広告制作・広告代理店
従業員数:336名(2026年4月時点)

目次
伊藤:貴社の事業内容や、お取扱いの領域についてお聞かせいただけますか。
井上:大阪の本社のほか、東京・博多・神戸に拠点を持ち、広告業および広告代理店業を展開しています。当社グループ企業向けの支援を主軸としながら、グループ外のクライアントに対してもサービス提供を拡大しています。
伊藤:ありがとうございます。次に、貴社の法務体制についてもお聞かせいただけますか。
井上:法務部門では、従業員からの契約書関連業務と知的財産に関する相談対応を中心に担っています。それぞれ担当者を置いていますが、難度の高い案件については私が対応しています。
その他、内部統制に関する業務についても、親会社である阪急阪神ホールディングスとも連携しながら法務部門で対応しています。
伊藤:ZeLoのサービスについては、どのようにご利用されていらっしゃいますか。
井上:顧問契約というかたちで、契約や知財に関する案件のうち、判断に悩むものや難度の高いものを依頼しています。また、イレギュラーな案件については、法的な見解だけでなく案件の進め方そのものから相談させていただくこともあります。
伊藤:顧問弁護士の導入を検討された背景についてもお聞かせいただけますか。
井上:当時は法務部門の役割や社内のエスカレーション方法など、法務体制がまだ十分に整備されていない状況でした。
また、難度の高い案件については親会社の顧問弁護士へ都度相談していたのですが、当社固有の事情を前提とした相談が難しく、回答までのスピード感にも課題を感じていました。
そのような中で、「自社のことを理解したうえで相談できる顧問弁護士が必要ではないか」という話になり、当社として顧問弁護士の導入を検討することになりました。
伊藤:最終的にZeLoを選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか。
井上:大きかったのは、対応領域の広さです。
当社のサービスの性質上、広告・表示規制に関する知見はもちろん重要です。一方で、クライアントの業種によってはヘルスケアやAIなどの専門的な領域に関する相談が発生することもあります。
そのような中で、ZeLoさんは幅広い専門領域に対応しており、必要に応じて適切な専門家に相談できる体制が整っていました。さまざまな論点を一つの窓口で相談できる点に魅力を感じました。

伊藤:対応領域の広さを評価いただいたとのことでしたが、実際にご利用いただいていかがでしょうか。
井上:非常に助かっています。
当社では契約関連だけでなく、商標をはじめとする知財に関する相談も多く発生します。以前は親会社の顧問弁理士に相談していましたが、現在は商標関連についてもZeLoさんに相談しています。
法務と知財を別々の専門家へ相談する場合、それぞれに背景事情を説明しなければなりません。しかし、ZeLoさんであれば当社の事業や過去の相談内容を理解いただいたうえで、弁護士と弁理士の双方にご対応いただけるため、非常にスムーズです。
伊藤:ありがとうございます。
井上:実際に相談する中でも、「この領域は対応できない」と言われたことはありません。
当社として知見の少ない案件や一定のリスクを伴う案件についても、単に法的な見解を示すだけでなく、複数の選択肢やシナリオを示しながら一緒に考えてくださいます。
そのため、社内で意思決定を行う際にも納得感を持って進めることができています。
また、商標に関する相談では、クライアントから細かな質問をいただくこともありますが、迅速かつ丁寧にご対応いただいています。クリエイティブ部門からの評価も高いですね。
伊藤:貴社は大阪に主要拠点をお持ちですが、東京の法律事務所へ依頼することに対するご懸念はありませんでしたか。
井上:当初は、関西の法律事務所の方が良いのではないかという意見もありました。
ただ、コロナ禍を経て当社でもオンラインで業務を進める環境が整っていましたし、最終的には距離よりも専門性を重視しました。
伊藤:実際にご依頼いただく中で、不便さを感じることはありませんでしたか。
井上:特にありません。
日常的な相談はテキストベースで行い、必要に応じて電話で確認するというかたちで進めています。むしろ、相談のたびにミーティングを設定する必要がないため、効率的だと感じています。
私自身、ZeLoさんからいただいた回答を営業担当者やクライアントへ説明する立場にありますので、認識のずれが生じないよう確認させていただくこともあります。そのような場合も、電話でポイントを絞ってタイムリーに相談できるため非常に助かっています。
伊藤:私たちとしても、細かなニュアンスを直接ご相談いただけるのはありがたいです。
井上:また、コミュニケーションのしやすさという意味では、当社ではkintoneを活用して法務相談や知財関連業務を管理していますが、ZeLoさんとも必要に応じてその仕組みを活用しながら連携しています。
案件や過去の相談内容を蓄積しながらコミュニケーションを取れるため、双方にとって効率的な体制が構築できていると感じています。

安富:先ほど、以前は法務体制の構築に課題を感じていたというお話がありましたが、その後どのような取り組みを進められたのでしょうか。
井上:当社として課題に感じていたのが、従業員内でもコンプライアンスに対する知識やリスク感度に個人差があることでした。
特に広告や知財に関する論点は、業務上日常的に発生する一方で、担当者によって理解度に差が生じやすい領域でもあります。そのため、まずは全社的な知識の底上げを図りたいと考えていました。
ただ、社内だけで研修を企画・実施することはリソースの観点から難しい状況でした。
そのような中で、ZeLoさんには広告関連法令や知財に関する研修を実施いただきました。加えて、研修内容をふまえたQA集も作成いただき、社内からも使いやすいと評判です。
現在では、QA集を社内に公開し、日常業務で判断に迷った際にはまずQA集を参照する運用としています。また、新入社員については知財研修を必須化し、最低限必要となる知識水準を担保しています。
安富:実際の業務フローにも落とし込んでいただいているのですね。
井上:はい。
当社ではkintone上で法務相談や知財関連業務を管理していますが、QA集をもとにしたチェックリストもシステム上に組み込み、担当者が確認できるようにしています。
その上で、個々の担当者では判断できない場合は法務部門へエスカレーションし、さらに必要に応じてZeLoさんへ相談するという流れを構築しています。
研修やQA集だけでなく、実際の業務フローに組み込むことで、リスク判断の仕組みそのものを整備している状況です。
また、ZeLoさんには他社事例なども共有いただいており、それらも参考にしながら継続的な改善を進めています。
現時点では、チェックリストの実効性向上や運用面での改善など、引き続き取り組むべき課題もありますが、今後も業務改善の観点で相談していきたいと考えています。
安富:こうした取り組みを進める中で、業務負担の変化などはありましたか。
井上:まず、商標関連については弁理士の方にもワンストップでご対応いただけるようになったことで、非常にスムーズになりました。
また、法務部門全体で見ると、以前は親会社の法務部門や顧問弁護士とのコミュニケーションに一定の工数がかかっていましたが、その部分が大きく改善されています。
当社の状況を理解いただいているZeLoさんへ直接相談できるようになったことで、法務部門のリソース不足を補完していただいている感覚があります。
安富:チェックリストや研修の運用を始めたことで、法務部門への相談件数には変化がありましたか。
井上:実は、相談件数自体は増えています。
一見すると負担が増えているようにも見えるのですが、私たちはむしろ良い兆候だと捉えています。
というのも、これまで見えていなかった潜在的なリスクが可視化されるようになったからです。
当社としては、まずリスクを表面化させることが重要だと考えています。そのための仕組みとして、研修やチェックリスト、リスク判断スキームを整備してきました。
現在は、そうした取り組みによって法務への相談が増えていますが、社員一人ひとりの知識や判断力が向上していけば、将来的には適切な形で相談件数も落ち着いていくのではないかと考えています。
まずはリスクに気付ける状態をつくることが重要であり、その意味では現在の状況は非常に前向きな変化だと認識しています。

安富:顧問弁護士を導入される際に期待されていたことと、実際にご利用いただいた後での印象についてはいかがでしょうか。
井上:当初期待していたことは大きく二つありました。
一つは、法務領域と知財領域を含めてワンストップで対応いただけることです。
もう一つは、当社の事業や実態を理解したうえで、実務的なアドバイスをいただけることでした。
この2点については、十分に期待に応えていただいていると感じています。
過去の案件や当社の考え方も踏まえながらご回答いただいているため、「法律上どうか」という観点だけではなく、「当社としてどう進めるべきか」という観点で相談することができています。
そのため、社内で意思決定を行う際にも非常に助かっています。
安富:ありがとうございます。最後に、今後、ZeLoに期待されることがあればお聞かせください。
井上:当社としては、法務や知財に関する個別案件への対応だけでなく、組織としてより良い体制を構築していきたいと考えています。
その中で、当社の事業やこれまでの経緯を理解したうえでご助言いただけることに大きな価値を感じています。今後も、法務体制や業務フローの改善も含めて、継続的に相談させていただければと思います。
安富:ありがとうございます。私たちも、日々のご相談を通じて貴社への理解を深めながらご支援させていただいております。今後も、法務・知財に関するご相談はもちろん、事業や組織の状況を踏まえた実務的なサポートを提供できるよう尽力してまいります。本日はありがとうございました。

※掲載内容は取材当時のものです(2026年4月時点)
(写真:李宗和、取材・文:渡辺桃)