現場と共に進化する労務支援。「相談できる文化」が組織を変える─株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
Labor and Social Security Attorney
Ikuro Ando
乳製品などのBtoC・BtoB販売から、ビフィズス菌(菌体)の販売まで、幅広い事業を展開する森永乳業株式会社。同社の中期経営計画でも掲げられている菌体事業の強化に伴い、2025年4月より新たな法務体制となりました。コーポレート戦略本部 法務知的財産部長の小野さん、同部法務グループの岩田さんと濱本さんに、法律事務所ZeLoの「契約書アウトソーシングサービス」の導入に至った背景や活用方法、今後の展望などについてお話を伺いました。聞き手を務めるのは、同社をサポートする高井雄紀弁護士と金子順事弁護士です。
Graduated from Hosei University,Faculty of Law in 2004. Completed the Graduate School of Law at Chuo University in 2006. Registered as a lawyer in 2007 and joined SoftBank Corp. (currently SoftBank Group Corp.) in 2008. Seconded to Wireless City Planning Inc., a telecommunications company from November 2010 to February 2013, seconded and transferred to Fukuoka SoftBank Hawks, Inc. In June 2020 as a Director of the Business Planning Department at the company, overseeing legal, compliance, and business planning divisions, and joined ZeLo in March 2025. Providing advice based on extensive experience in Legal/Compliance, Business Planning, General Affairs, External Relations, Risk Management, Information Security, and other areas.
Graduated from the Faculty of Law, Hitotsubashi University in 2010, completed the School of Law at Hitotsubashi University in 2012. After engaging in business related to Southeast Asia expansion at a private company, he passed the National Bar Examination in 2014 and registered as a lawyer in 2016 (DaiIchi Tokyo Bar Association). After working for Mitsubishi Heavy Industries, Ltd., he joined ZeLo in 2018. His main practice areas are Web3 (blockchain, crypto-assets, NFTs, etc.), antitrust law, general corporate matters, IT and intellectual property, information law, cross-border legal affairs, and startup legal support. Having recognized the potential of blockchain and crypto-assets even before they gained widespread attention, he has continued his research in the field and now leverages that expertise to handle a wide range of legal matters in this domain. Publications include "Strategy and Practice of Rulemaking" (Shojihomu, 2021), among other publications.
業界:牛乳、乳製品、アイス、飲料その他の食品等の製造、販売
従業員数:単体3,310名、連結7,453名(2025年3月31日時点)

高井:貴社の事業内容や、お取扱いの領域についてお聞かせいただけますか。
小野:当社では、主に三つの領域で事業を展開しています。
一つ目は国内のBtoC事業で、お客様向けのヨーグルトや牛乳、飲料、アイス、チーズ、育児用ミルクなどを取り扱っています。二つ目は国内のBtoB事業で、洋菓子店や飲食店をはじめ企業向けにクリームなどの乳原料を卸しているほか、ビフィズス菌(菌体)自体の販売もしています。三つ目は海外事業で、菌体や育児用ミルクの販売に加え、アメリカでは、プラントベース(植物由来の原材料をベースにした食品や食生活のこと)事業も手掛けています。
岩田:BtoC事業が大きな割合を占めているのですが、赤ちゃん向けの育児用ミルクからシニアの方の健康・栄養をサポートする栄養補助食品や流動食まで、幅広いライフステージに向けた商品を取り扱っているのが大きな特徴かと思います。
高井:次に、貴社の法務体制や担当部門、他部門との連携について教えていただけますか。
小野:私たちの所属している法務知的財産部は、コーポレート戦略本部に属しています。元々は、総務部法務グループと知的財産部とがそれぞれ別の部署で分かれていたのですが、これらの部署を統合するかたちで、2025年4月に発足しました。
法務グループでは、紛争の予防や解決のほか、売買契約に関する契約書の審査に加え、商標や意匠・著作権などの調査や出願も担当しています。
ただし、会社法や不動産、コンプライアンスなどのコーポレート周りの業務に関しては、もちろん事案によって一緒に進めることもありますが、基本的には総務部の各グループで対応しています。
金子:新たに部門を創設された背景やきっかけなどはございますか。
小野:創設の背景としては、中期経営計画でも掲げている菌体事業の強化ですね。
菌体は培養されるリスクがあるため、契約上どのように自社の商材を守っていくか、という点で、法務や知的財産権の観点が非常に重要になります。このような背景から、菌体に関する契約審査を行う部署と知財部門を一体化させました。一方で、会社法のような業務はまた全く異なる領域になりますので、そこは引き続き総務部で担っています。
岩田:特許や知財の領域は研究所マターになるが多いので、私たちが橋渡し役となり、研究所と事業部門のそれぞれの意向をふまえつつワンストップで管理していければと考えています。
高井:菌体の販売事業は貴社ならではの事業になるかと思いますが、どのような点に注意して審査をしていらっしゃいますか。
岩田:先ほども触れましたが、菌は培養されるリスクがあるため、競争力を毀損しないか、自社の商材を守れるかという点を最も意識しています。また、世界各国のレギュレーションと知的財産権の担保のバランスも重要な観点だと考えているので、事業部門と密に連携しながら事案にあわせて対応を進めています。
小野:国内にとどまらず、今後はさらに海外でのビジネスにも注力していきたいと考えています。
高井:ご教示いただきありがとうございます。海外に関するお取り組みについて、例えば、直近ですと大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンで、ビフィズス菌に関する展示をしていらしたと伺いました。
岩田:まさに当社はビフィズス菌に強みを持っているのですが、消費者の方からすると、ビフィズス菌といってもどのような菌なのか、具体的にイメージのついていない方も多いと思います。
「ビフィズス菌と言えば森永乳業」と想起していただけるようなブランディングを、今全社を挙げて進めているところです。国内にとどまらず中長期的にはグローバルにもこのイメージを広げていけたらと考えています。

高井:次に、当事務所のリーガルサービスをどのように利用されているかについてお聞かせいただけますか。
濱本:法務に携わる社員のうち約半数が商標や表示業務の担当者でして、いわゆる一般的な法務担当は数名で対応しています。
突発的な案件が日常的に増加しているなかで、業務の負荷が高まった際に、ZeLoさんにご依頼しています。棲み分けとしては、一般的な単発の案件をZeLoさんにお願いして、継続的であったり戦略的な案件については社内の法務担当が対応するイメージです。
高井:当事務所をお選びいただいた理由などはございますか。
濱本:まずは「費用感」の面です。最近様々な形態の外注サービスが登場していると思いますが、ZeLoさんはパラリーガル(弁護士補助職)の方が補助的な確認をされつつ、弁護士の先生がメインで最終確認を行う対応をされているので、クオリティを担保しつつ比較的リーズナブルにご依頼できているのかなと思います。ご知見のある先生にご対応いただけるので、事前のインプットに時間を割かずにすぐに案件のご相談ができ、大変ありがたいです。
また、単に「言われたことをやります」というスタイルではなく、積極的にご提案いただけるコンサルティング要素もある点も良いなと思っています。
高井:ありがとうございます。定期的に実施させていただいているお打ち合わせの場もそうですし、日々契約書の審査結果をお戻しする際にも、論点になりそうなポイントには弊所としての判断基準や意見を添えるのがZeLoの特徴かもしれません。
濱本:論点となりうるのかという点も含め、当社での検討の材料になりますので、ZeLoさんとしてのコメントをいただけるのはとてもありがたいです。将来的な面でも、当時どうしてこの選択をしたのかがクリアになっていると振り返りやすいなと思います。
高井:今後の話になりますが、貴社特有の基準や対応方針を言語化して取りまとめた「プレイブック」の作成も可能です。事案によっては事業部門の方でも判断できるようになるので、法務部門の工数も効率化できるようになると思います。
濱本:コンサルティング的な要素としてまさに期待していたところでした。ある程度型のある契約書類型であれば実現できるなと考えていたのですが、なかなか手がつけられていないところでしたので、ぜひご協力いただければと思います。

高井:ありがとうございます。新しい法務のかたちを一緒に模索できればと考えております。いただいた点の他に、弊所の特徴やご評価いただいている点はございますか。
濱本:複数名の方にご対応いただいていますが、ご回答の文体や言い回しなどを含め、非常に統一感があるなと感じています。読み込みもスムーズにできますし、助かっています。
高井:一人一人強みや個性は異なりますが、組織として統一感を持ち、誰が読んでも理解しやすく言語化することを大切にしています。私たちの成果物を通して、お客様の次のTODOをクリアにし、判断がしやすくなることを意識してコメントをするようにしていますね。
濱本:その他にも、スピード感も印象的です。ZeLoさんに初めてご連絡させていただいた頃は、緊急対応が必要な案件が発生したこともあり、リソースがかなりひっ迫している状況でした。そんな中でZeLoさんには、最初のお打ち合わせからチームの組成、実際の依頼まで、実質1か月足らずの期間でご対応いただいたので大変助かりました。
高井:立ち上げの速さや情報のキャッチアップのスピード感についてはZeLoとしても大切にしているポイントですので、そうおっしゃっていただけてありがたいです。お客様のご依頼やニーズにあわせて、スケジュールはかなり柔軟に対応できると思います。
濱本:依頼当初だけでなく、今もスピード感を持ってご対応いただいていますし、クオリティも高く、業務の負担が軽減されています。当社以外でも、業務の外注を検討する時というのは、リソースがひっ迫しているケースが多いと思います。立ち上げにかなり時間がかかってしまうと本末転倒になってしまうと思うのですが、ZeLoさんはスピード感を持って対応してくださいました。
高井:少しでもご負担を軽減できているのであれば幸いです。
濱本:物理的な負荷もそうですし、万が一緊急の案件が入ったとしても相談できる先がある、という安心感もあります。

金子:アウトソースできる部分は我々にお任せいただき、皆さまには企業の中にいるからこそ必要となるいわゆる「コア業務」に注力いただくことで、法務グループをさらに強固な組織に、ひいては法務企業価値を増大させるお手伝いをさせていただけたらと考えています。今後も、例えば知財領域なども含めいつでもお気軽にご相談ください。
濱本:ありがとうございます。ZeLoさんとご一緒させていただいて、組織づくりという点でもとても勉強になります。私たち法務グループは様々なバックグラウンドを持つメンバーが集まっているので、今後はグループとしての共通認識を作っていきたいと考えています。
金子:昔と比べると、人材の流動性が上がっていますし、様々なバックグラウンドや年次の方がいるなかで、どのように組織や回答の方針を作っていくのかというところは、どの企業も課題になっているのではないかと思います。
私たちも日々様々なお客様と、まさに法務の組織を作っていくことに携わらせていただいていますが、「わかりやすさ」と「何をしたら良いのか」を意識することがポイントなのではないかと考えています。この2点をクリアにすることで、組織として同じ目標に向かっていけるのではないかと考えています。
小野:私は医療機器メーカー、とエレクトロニクスメーカーの知的財産部門で働いていた経験を持つのですが、当社のような食品業界とは知財や法務に対する考え方などもやはり少し違うんですよね。様々なメンバーがいて、そして幅広い業務がある中で効率良く進めていくためには、組織として共通認識を持ちつつ、先ほどのようなコア業務・非コア業務の分類は非常に重要なのだなと感じています。

高井:最後に、貴社の今後のご展望など、お話しいただける範囲でお聞かせください。
岩田:今期より新たな中期経営計画がスタートしています。2019年に10年ビジョンを掲げ、その最後の4年間という位置づけになりますが、ありたい姿として「大きな特徴を持ち、利益率の高い企業へ」というものを掲げています。中期経営計画ではMerihari-メリハリ-」というキーワードを掲げ、資源を集中的に投下していく成長領域として、冒頭にも話に挙がった国内外の菌体ビジネスを含め、特に注力していく四つの事業を位置付けています。
事業成長に向けて海外展開を強化する中で、ぜひZeLoさんのお力もお借りしながら進めていきたいです。

小野:まさに海外展開の強化を図っていくうえで、そこに付随する契約書はかなり増えてきていますし、今後もより増えていくと思います。社内のリソースや採用にも限界がありますので、その点でもご相談させていただくことがあるかもしれません。
高井:英文契約書のレビューももちろん対応可能ですし、国際法務のチームでより専門的に対応することも可能です。現在ご依頼いただいている契約書はもちろんのこと、国際法務の領域も含め、引き続き尽力してまいります!

※掲載内容は取材当時のものです(2025年9月時点)
(写真:根津佐和子、取材:渡辺桃・斎藤美緒、文:渡辺桃、編集:斎藤美緒)