「インハウスロイヤー」を置いたかのような法務部機能の構築 – 株式会社うるる
法律事務所ZeLo・外国法共同事業では「法務専任者が社内にいない」といった企業法務のお悩みを解決すべく、LPOサービス(顧問弁護士:Legal Process Outsourcing Service)を提供しています。今回は、株式会社うるるの取締役CFO・近藤浩計さんに、LPOサービスをどのようにご活用いただいているか、また導入したメリットなどをお話しいただきました。聞き手を務めるのは、小笠原匡隆弁護士です。
会社規模:東京証券取引所グロース上場企業
業界:CGS(Cloud Generated Service・BPO・クラウドソーシング)
従業員数:約180名
法務部の有無:なし
POINT
- 弁護士の定期訪問により、あたかもインハウスロイヤーが存在するかのような状態を構築し、法律相談に関する敷居を圧倒的に下げ多くの法的課題に気付きこれを効率的に解決
- 知財管理を含む成長企業に必要な法務ファンクションをワンストップで任せることに大きなメリット
- リーガルテックを用いたリーディングファームであるからこそのサービス水準の高さと、今後の契約書管理に関する新規リーガルサービスへの期待
目次
クラウドワーカーという新しい労働力を活かしたビジネス
貴社の事業と法務部が取り扱う法分野について教えてください。
当社は、クラウドワーカーという「人のチカラ」を活用して、多くのCGS(Crowd Generated Service)事業やBPO(Business Process Outsourcing)事業を展開しています。
CGS事業では、次々と新規事業を生み出していくため様々な法的規制の検証が必要となりますし、メインビジネスである入札情報速報サービスであるNJSSは、いわゆるBtoB・SaaS事業でありますので、利用規約の作成・修正であったり、他社との業務提携等に関する契約法務が多岐にわたって存在します。
BPO事業においても、案件を受託するにあたって様々な契約交渉が発生します。
専属法務のいない中で急成長し上場企業へ
法務部門はどういった体制でしょうか?
当社は、2017年にマザーズ(当時)に上場し、現在従業員はグループ全体で約180人になりますが、現在に至るまで法務の専任の人材を採用したことはありません。現在のところ法務専門の人材を採用する予定はありません。ビジネスに関連する法務は私が担当し、人事・労務に関連する法務は人事責任者に担当してもらっています。
法務人材を採用してこなかった理由をお聞かせください。
ビジネスが多岐にわたっていて、法務人材を1人採用するとしても、これらの法務ニーズをフルカバーすることは不可能だと考えていますし、仮にそういった方を採用できたとしても、非常にハイコストになると考えていました。
もともと、当社では、自らがBPO(Business Process Outsourcing)事業を行っていたことから、「餅は餅屋へ」外注するといったことに抵抗がなく、法務という極めて高度な領域については外注するべきであるという発想がありました。そういった理由で、専任の法務人材を採用しなかったという経緯があります。
法律相談に対するコミュニケーションの敷居の高さを改善したかった
他の法律事務所から当事務所に変更していただいた理由を教えてください。
ZeLoの前にも、大手法律事務所を含む2つの法律事務所に顧問弁護士を担当してもらっていました。当時は、私が顧問弁護士の方との窓口になって、事業部の各担当者からの法務に関する質問を私が取りまとめて相談をしていました。
しかし、どうしても社内の一時的な窓口を私が担当すると、私のキャパシティがボトルネックになってしまい業務がスタックしてしまうということがありました。
また、以前の顧問弁護士については、外部者という感覚があり、コミュニケーションコストが高いといった印象でした。すぐに問題を共有して議論をしたいが、論点を整理して整えた後に、丁寧なメールを打ってとなると何日も時間を要してしまいます。文面でのやりとりは、細かな部分やニュアンスを伝えづらいことが多かったように感じています。
また、そもそものチャージレートが高めで、いくらかかるかの予測可能性もつかないことがあって、コミュニケーションを抑制する方向にはたらくことが多く、相談には敷居がありました。ZeLoについては、実際にオフィスに来ていただいて、業務を行っていただけるプランがあることに魅力を感じて、依頼をしました。
当事務所をどのように利用されていますか?
オフィスに週2日お越しいただいて、各事業部門の担当者がChatworkで相談をしています。特に新規事業のプランニングや、法改正に対応するといった複雑な問題であれば、対面で密に打ち合わせを行っています。事業部の従業員と弁護士が直接相談できるのは、相談の心理的ハードルも非常に低く、極めて円滑なコミュニケーションが効率的に行われていることを実感しています。
そして、相談の心理的ハードルが下がったことにより、非常に幅広く問題を拾っていただくことが可能になりました。従前では見過ごしていた、法的リスクも、気軽に相談できるからこそ、漏れなく事業上の法的リスクに気付くことが可能となりました。
また、当社でとても重宝しているのは、法務的な意思決定の一部分をもお越しいただいている弁護士に任せることができるようになったことがあげられます。日々密に連絡をとっていることから、当社のことを具にご理解いただいているので、事業部とコミュニケーションをとっていただき契約交渉の落とし所についても弁護士に決定していただいています。あたかも、インハウスロイヤーを有する法務部が社内に構築できているような状態を作ることができています。
対応窓口となっている弁護士だけで問題を解決できない、マンパワーが必要なM&A案件や、極めて高度なインサイダーの法規制や金融規制等については、ZeLo内の別の弁護士のリソースを用いて対応していただいています。この場合についても、お越しいただいている弁護士が適切にディレクションを行っていただけるので、非常にスムーズに案件を進めることができています。こういった幅広い問題解決については、法務専任者を一人採用しても実現できないのではないか、と感じています。
当事務所のクオリティやスピードはいかがでしょうか?
申し分ないです。弁護士が当社の従業員と一体となって、プロジェクトを回しています。日々の相談だけでなくて、プロジェクトを回す時も身近でスピード感をもってサポートしてくれるので、安心してプロジェクトを実行することができます。
リーガルテックを用いたリーディングファームであるからこその大きな強み
通常のローファームと異なった便利さが当事務所にあれば教えてください。
先程述べたサービスの提供方法が斬新であることに加えて、知的財産権の管理業務を一元的に任せたり、内部通報システムの構築であったり、成長企業としてお願いしたいことを包括的に依頼できるということも特徴的であると思っています。知的財産権の管理はなかなか面倒であり、更新料の納付の管理を失念していると知財が失効してしまうといったことがありますが、こういったこともフォローしてもらえるため、非常に安心であり重宝しています。
また、ZeLoには戦略的パートナーとして株式会社LegalForceがいるため、リーガルテックオリエンテッドであることの強みがあると思います。こういったリーガルテックを非常に明るく使いこなしているからこそ、契約書の確認は非常に迅速であり、作成も非常に早く、他の弁護士とはそのスピードに格段の違いを感じています。
当事務所のLPOサービスに対する今後の期待はありますか。
今後LegalForceで開発される契約書を管理するためのソフトウェアにも期待していて、ZeLoにはその製品を用いていただくことによって、契約書の管理業務も極めて効率的に担当していただけると思っています。そういったリーガルテックを用いた新しいリーガルサービスに非常にワクワクしています。
▼ZeLoの提供するLPOサービスの詳細はこちら。
※掲載内容は取材当時のものです(取材日:2020年1月10日)
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