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シンボルマークやロゴマークなどを用いた出願事例をもとに解説。商標出願の検討ポイント

自社の商品やサービスを提供するうえで必要なロゴやネーミング。他者から使用されないためにロゴやネーミングを保護するには、適切に商標登録をすることが重要です。しかし商標出願は決して簡単なものではなく非常に複雑な面もあります。ロゴひとつとっても、例えば「どの形で出願すればいいのか」、「カラーで出すか、白黒でよいか」や「どの商品・どのサービスを指定して出願するか」など多くの検討事項があり、慎重に選ばないと想定していた範囲に効力が及ばない可能性もあります。今回の記事では、商標権を取得することのメリットや流れ、商標出願するときに注意すべきポイントを、事例も織り交ぜ、はじめての方にもわかりやすく解説します。

シンボルマークやロゴマークなどを用いた出願事例をもとに解説。商標出願の検討ポイント
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PROFILE

2017年3月山口大学経済学部経済法学科卒業。2017年4月~2019年4月特許事務所にて商標の出願業務に従事。2019年5月法律事務所ZeLo・外国法共同事業参画。国内外の商標出願、国内外の商標の調査、商標の類否検討、特許庁に対する特許・商標の出願手続き等に関する業務の弁理士補佐を主に担当。

商標とは

この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

商標法 第二条

商標とは、事業者が、商品やサービスにおいて、自己と他者のものを識別するために用いる標章を指し、一般的にはネーミングやロゴが該当します。そして、商標を保護するための権利のことを、商標権といいます。

なぜ商標登録が必要か

商標登録すると、登録商標を使用する権利を独占でき、他者による同一または類似範囲の使用を排除、権利を侵害された場合は差止めなどを請求することができます。また、独占権であることから、より自己と他者の商品やサービスを区別することができ、自社にとって更なる安心や信頼につながります。

一方、商標登録をしないと、自己の商品やサービスの目印となるネーミングやロゴを他者に無断で使用されてしまうリスクや先に商標登録されてしまうリスクと常に隣り合わせになります。万が一、他者が先に同じ商標を登録した場合、その商標を自由に使えなくなったり、使用するたびに料金を請求されたりする可能性もあります。さらに、商標権を侵害していると訴えられたりするおそれもあるため、なるべく早めの商標登録をおすすめします。

商標権発生までの流れ

商標権は、特許庁に商標出願したのち、審査を経て、商標登録料(印紙代)を支払うと発生します。商標登録料を支払うと10年間権利を維持することができ、その後は10年ごとに更新料を支払い続けることで、いわば永久に商標権を維持することができます。

出典:特許庁「初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~」(最終閲覧日:2023年3月29日)の図をもとに筆者作成

商標権の権利範囲

商標登録において注意が必要な点として、商標権を取得したからといって、世の中にあるすべての商品やサービスに対して、他者の使用を防ぐことができるわけではない点があげられます。特許庁が公表している以下の図のとおり、商標が同一・類似であった場合でも、指定する商品・サービスが非類似の場合は、他者の使用を防ぐことができません。

出典:特許庁「商標制度に関するよくある質問」(最終閲覧日:2023年3月29日)より引用

「商標」と「商標を使用する商品やサービスの内容」を指定することによって商標権の効力が及ぶ範囲(他者の使用を防ぐことができる範囲)が決まります。そのため、それぞれ「商標をどの形で出願するか」に加えて、「どの商品・どのサービスを指定して出願するか」という視点で検討することも、重要です。

商標出願の手続き

商標出願は、以下の定められた様式に、必要な事項を記載して出願します。商標に関する事項としては、【商標登録を受けようとする商標】、【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】を記載する必要があります。

出典:特許庁「商標登録出願の手続 第一節 願書、申請書の作成方法」(最終閲覧日:2023年3月29日)より引用

ロゴの種類と出願事例

商標出願するときに検討すべきポイント1点目として、「商標をどの形で出願するか」があります。ロゴを用いて解説します。

ロゴの種類

ひとつのロゴの中でも、以下のとおりシンボルマーク・ロゴタイプ・ロゴマークとロゴの種類が分かれており、ロゴの種類に合わせて以下4つの出願方法があります。

出願方法①:ロゴタイプ部分を標準文字制度を使用して商標出願

■登録例
登録番号第5479629号

標準文字制度とは、登録を求める商標が文字のみで構成される場合、特許庁長官があらかじめ定めた文字書体によるものを、その商標の表示態様として公表し登録する制度を指します。文字のデザインが決まっていない場合や特殊なフォントを使用していない場合には、標準文字制度を使用した出願がおすすめです。

なお、縦書きの商標や2段以上の構成からなる商標、ポイントの異なる文字を含む商標など、標準文字制度を利用できない商標もあります。詳しくは、特許庁が2017年7月に公表した「商標法第5条第3項に規定する標準文字について」をご参照ください。

出願方法②:ロゴタイプ部分をそのまま商標出願

■登録例
登録番号第4999383号

登録番号第4120431号

登録番号第5860742号

特殊なフォントを使用している場合や文字の一部が図形化している場合には、そのままの態様で出願することがおすすめです。

出願方法③:シンボルマーク部分を商標出願

登録例
登録番号第5891180号

国際登録番号第1566911号

アプリのアイコンなどにシンボルマークを使用する場合などは、シンボルマーク部分のみの出願をおすすめしています。

出願方法④:ロゴマーク部分を商標出願

■登録例
登録番号第4504142号

登録番号第5537919号

ロゴタイプとシンボルマークを別々に使用する場合は、上記出願方法①②③でそれぞれ商標出願することをおすすめしますが、別々に使用することを予定していない場合や別々に使用する頻度は低く費用を低く抑えたい場合には、ロゴマークのみでの出願も一策です。
商標出願は1件ごとに費用がかかりますので、長期的な使用目的、使用形態に合わせて、しっかり検討して出願することが重要です。

商品・サービス区分の指定

商標出願をするときに検討すべきポイント2点目として、「どの商品・サービスを指定して出願するか」があります。
商品・サービスは45個の区分に分けられ、それぞれの商品・サービスに「類似群コード」が付されています。同じ商品でも用途や目的によって、区分・類似群コードが異なるなど非常に複雑です。45個の区分の違いを正確に理解していないと、指定する商品・サービスの漏れが生じ、結果商標権の効力が想定していた範囲に及ばない可能性があります。

戦略的に、早めの商標登録を

自己の商品やサービスを世の中に認知してもらうためには、ネーミングやロゴを定め、適切に商標出願をし、保護したうえで、使用することが大切です。長期的な視点での商標の選定や、適切な商品・サービス区分の指定など、慎重かつ戦略的に出願を行うことが鍵となります。

当事務所の知的財産チームでは、貴社のビジネスを長期的に見て「取得すべき商標は何か」、「商標権の効力が適切に発揮される商品・サービス区分は何か」などを、アドバイスします。自社の知的財産戦略を見直したいという方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください 。

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