連載⑨:スタートアップにおけるエグジット②-M&Aの全体像と法務対応のポイント
Attorney admitted in Japan
Kyohei Yanagida
近年、国内スタートアップの資金調達額が大型化しています。5、6年前は、100億円を超えるスタートアップファイナンスは皆無でした。IPO前の株式会社メルカリのラウンドで約80億円程度であり、数十億円のファイナンスを見ることも稀でした。近年資金調達が大型化した一つの理由として、海外投資家が日本のスタートアップに投資する傾向が強まったことが挙げられます。ただ、このようにスタートアップの資金調達が大型化していく中で、近時の資金調達の動向と投資条件については共有されておらず、大型資金調達の相場を知る機会は多くはありません。そこで、ミドルからレイターステージのスタートアップや、ベンチャー・キャピタル、PEファンド等の方々の参考としていただくために、今回は、登記情報等の公表情報から、近時の大型資金調達における優先株式の内容の分析を行いました。なお、あくまで以下は登記情報等の公表情報のみから判明する範囲で記載させていただいているのみであり、詳細なターム条件等に基づくものではない点にはご留意ください。
目次
1 近時の大型資金調達の概要(登記情報等公表情報より分析)
2 種類株式・優先株式とは?
(1)種類株式とは?
(2)種類株式にはどのような差をつけることができるのか?
(3)優先株式とは?
ア 優先株式とはどのような株式を意味するか?
イ 優先株式が用いられる理由は?
ウ 「参加型」「非参加型」、「累積型」「非累積型」とは?
①「参加型」「非参加型」とは?
②「累積型」「非累積型」とは?
エ 残余財産の分配の優先権の倍率とは?
3 各社の事例の共通点と相違点から浮かび上がる潮流
(1)剰余金の配当に関する優先権
(2)残余財産の分配に関する優先権(みなし清算)
(3)取得請求権―調整条項とは?―
(4)取得条項
(5)その他
(6)まとめ
1 近時の大型資金調達の概要(登記情報等公表情報より分析)
今回の分析では、2020年8月時点までにおいて、大型資金調達を実施した急成長スタートアップを4つ取り上げたいと思います。登記情報等公表情報に基づく情報で重要な点を以下のとおり整理しています。
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