業界:SaaS・メディア 従業員数:153名(2022年8月時点)
法務を兼任する社内体制。法改正もZeLoと検討
高井 : 改めて、貴社の事業内容を教えてください。
清水 : 当社は2004年に創業し、Webマーケティング分野とメディア分野でインターネット事業を展開するテクノロジーカンパニーです。企業がWebマーケティングを推進するうえで直面する、知識・環境・人の問題を解決し、テクノロジーを使ってより創造的な仕事に注力できる環境を作ることを目指して事業を行っています。主力の製品は、オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One」と、フォーム作成管理ツール「formrun」です。また、Webマーケティングメディア「ferret」も運営しています。
高井 : 貴社の法務体制や日常的に関わる業務についても、教えていただけますか。
清水 : 当社には、現在は法務と呼ばれる部署はありません。私と羽渕を含めた3名体制の経営企画部で法務機能も担っています。
私は、バックグラウンドが公認会計士ということもあり、予実管理や、監査法人などとのやりとりを含めた経営企画を中心に対応しています。そのほか、ガバナンス強化のために内部統制・内部監査の仕事も行っています。
羽渕 : 私は法務やガバナンス周りのほか、情報セキュリティ関係の業務も対応しています。全体業務のうち、あえて法務に関連するところを切り出すとすれば、20~30%ほどかなと思います。
清水英次さん(写真左)は、監査法人で約10年公認会計士として勤務した後、2020年にベーシックに入社し、経営企画部長・内部監査室長を務める。羽渕あやのさん(写真右)は新卒でベーシックに入社し、メディア営業や企画運営などの実務を経て、2021年から法務の業務を担う。
高井 : 貴社に関わる法分野としては、個人情報保護法や、下請法、特定電子メール法などですよね。特に貴社のような情報を活用するマーケティング会社にとっては、2022年4月に改正された個人情報保護法は影響が大きかったですね。
羽渕 : そうですね。ZeLoさんには、私たちのやりたいことと法律の兼ね合いを調整していただいて、とても助かりました。クライアントに対する打ち出し方なども、ZeLoさんが一緒に探してくださったと思っています。
肩肘張らないコミュニケーションが生み出す、ベストな連携
高井 : 普段のご依頼はSlackでいただくお問い合わせと、貴社のツール「formrun」で管理する契約書レビューが中心ですね。
清水 : 「formrun」の契約書レビュー依頼フォームに、営業部やカスタマーサクセスなど、事業部のメンバーが直接入力して、ZeLoさんにレビューをいただいています。Slackとも連携可能だから、お互い対応漏れが無いのかなと思いますね。
高井 : 「formrun」上で未対応・対応中・対応完了のように、契約書レビューのステータスを一覧で共有できるところが便利ですよね。契約書もNDAや利用規約、覚書など様々な種類があるので、案件ごとに進捗管理できて助かっています。
ベーシックが提供するフォーム作成管理ツール「formrun 」内の、ボード画面(例)。 チームでステータスを管理することができ、業務の効率化に繋がっている。
高井 : 契約書以外のお問い合わせについても、以前は営業部やカスタマーサクセスなど事業部の皆さまから、私たち弁護士に直接ご連絡いただくかたちでした。しかし、貴社の成長に合わせて次第に様々なご依頼をいただくようになり、清水さんと羽渕さんにタイムリーな対応が難しくなっていったと率直に相談しました。
そこで1年ほど前から、事業部の皆さまのお問い合わせをまず羽渕さんを中心に貴社内で対応いただき、悩んだところをZeLoに尋ねていただくような体制に変更しました。
清水 : 自社で可能な範囲は自力で解決できる体制にした方が、社内にもナレッジが溜まったり、効率よくタイムリーに進めたりできると考えたんですよね。今も、事業部からZeLoさんに直接の問い合わせができる体制は引き続き維持していますが、社内でできることとZeLoさんにお願いすべきこととを明確に分けるようにしています。
ベーシックは基本的に一番成果が出るかたちであれば、リモート勤務やオフィス出社など、働き方が柔軟に認められています。Slackでのコミュニケーションが中心なこともあり、よりタイムリーな対応が求められるのかもしれません。
羽渕 : 社内で対応可能な問い合わせは、基本的に当日中に返すことが多いですね。1日あたり4~5件ほどの問い合わせに答えています。約1年間、ZeLoさんと一緒にお仕事をする中で得た知識や感覚をそのまま使っている感じですね。自分が緩衝役として入ることで、実務上の論点も理解しやすく、座学で勉強するよりも知識の定着が早いと実感しています。
高井 : 皆さまに対応いただいているおかげで、私もより全体を俯瞰して、貴社のビジネスに関わるニュースのキャッチアップや、IPOを視野に入れた内部統制などにも注力できるようになりました。
ZeLoでの契約書レビューは、弁護士・パラリーガルで協力しながら対応している。ZeLo内でも「効率的に業務を進めつつも、コミュニケーションが活発なベーシックさまの雰囲気が好きだ」と言うメンバーは多い。
フレキシブルに模索する、チームとしての機能的なあり方
高井 : 最近は、貴社と相談しながら、社内のお問い合わせに効率的に対応できる体制を、一緒に整えていますよね。
羽渕 : そうですね。社内から問い合わせが来ても、マニュアルのリンクを送るだけですぐに対応が完結するように整備しています。ありがたいことに、メンバーもマニュアルの活用に協力してくれています。ベーシックは、部署関係なく助け合いながら、業務効率などを高めていこうとする人が多いからかもしれません。
また、ZeLoさんに契約書のひな形もアップデートしていただいたおかげで、問い合わせが頻発していたケースの対応も定型化することができました。法務に依頼するフローを最小限に抑えて、業務がスムーズに進む体制が整いつつあります。
高井 : 我々は、仕事に対する考え方が似ていて、「機能的な体制構築のために、どうしようか?」という話が進みやすいなと感じています。みんな同年代で小さな子どもがいるからか、いかに最適なかたちで仕事を進めるかを常に考えている気がしますね。
羽渕 : 清水も「残業を極力しないで」と言ってくれるので、就業時間内で最大限できることをやっています。効率的に仕事を進めるために、可能な範囲でスケジュールを立てて、逆算し、進捗を管理しながら毎日の仕事をやるようにしていますね。その日もらった問い合わせは、なるべく翌営業日以降に持ちこさないことも意識しています。
清水 : 私もスピード感を意識して、すぐ対応できるものは寝かさずに対応しています。逆に本腰を入れなければいけない業務は、集中できる時間を作って対応しています。
高井 : 同じく生活を朝型に切り替えて、仕事に集中できる時間を作っています!時短マニアなので、「どうすれば一番効率的になるだろうか?」と常に考えていますね。
羽渕 : そんな高井さんだからこそ、我々の色々な試みにもノーと言わず、柔軟に付き合ってくれて、本当にありがたいなと思いますね。何が一番ベストなのか、その都度一緒に模索していただいています。
スケジュールを管理したり、話し合ったことを素早くフローチャートに残したりと、タスクマネジメントに定評のある羽渕あやのさん。
ビジネスへのコミットを基盤に、よりきめ細かな対応を
高井 : 貴社との新しい試みで言うと、先ほどのお問い合わせの体制変更や、細かなフローの変更など、色々行いましたよね。
清水 : 高井さんには、我々のビジネスをかなり理解していただいている安心感があるため、フロー変更などの細かな相談もしやすいと感じています。
高井 : ありがとうございます。「できることはできる」「できないことはできない」などと正直に話すようにしているので、それが打ち解けやすくなるポイントだったら嬉しいです。
今後は、社内体制やフローの構築に限らず、機動的に対応できる仕組みを作っていけたらと考えています。ZeLoで法分野やニュースについてリサーチしているのを活かして、ビジネスに関連する法改正があった場合や、新たな論点が生じた場合にも、貴社と連携していきます。
法律に書いてあることの中には、「これも守らないといけないの?」と思うところもあるかもしれないので、現実のビジネスに照らし合わせながら、今後も一緒に考えていきましょう。
清水 : そうですね。ZeLoさん側から「ビジネス上、こういうところが問題になるよね」と気づいて、都度提案いただけるところも信頼につながっています。
SlackでもベーシックとZeLoが、お互いに絵文字スタンプを用いてタスクを整理するなど、スムーズでポップなコミュニケーションが行われているという。カスタム絵文字を作ることも可能なため、「そういえば高井さんらしいスタンプがないですよね。我々でつくります!」と清水英次さん。
高井 : 貴社はメディア運営もされていて、マーケティングの業界への影響力も大きいと思います。現在の情勢などにも合わせた、社内マニュアルの改訂やリーガルチェックなどもしていきたいですね。
羽渕 : すでに社内で定めているルールも、あらためてリーガルチェックをしていただくのも良いかもしれないです。これからもベーシックの変化にあわせて、一緒にベストな方法を見つけていけたら嬉しいです!
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※掲載内容は取材当時のものです(取材日:2022年5月27日)
(写真:岡戸雅樹、取材・文:高田侑子、編集:村上未萌、ZeLo LAW SQUARE編集部)