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僕たちがZeLoを創った理由ー弁護士 小笠原匡隆

僕たちがZeLoを創った理由ー弁護士 小笠原匡隆
PROFILE
Masataka Ogasawara

Attorney admitted in Japan

Masataka Ogasawara

法律事務所ZeLo代表弁護士。2009年早稲田大学法学部三年次早期卒業、2011年東京大学法科大学院修了。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。2017年法律事務所ZeLo創業。主な取扱分野はブロックチェーン・暗号資産、FinTech、IT・知的財産権、M&A、労働法、事業再生、スタートアップ支援など。

法律事務所ZeLo代表の小笠原です。
本日、日経新聞に「個性派」として法律事務所ZeLoを取り上げていただきました

取材を受けた際は、どういった事務所が並ぶのかな、どういった記事になるのかな、と楽しみにしていましたが、記事を読んで改めて面白い分析だな、と感じました。丁寧にご取材いただいた日経新聞の記者には感謝しています。

掲載されている法律事務所の代表の方々とはほとんど面識があり、それぞれ奇想天外で面白い方々ばかりで非常に尊敬しています。まさに「個性的」であると感じます(勿論ここにとりあげられていない「個性的」で素晴らしい事務所は沢山あります。)。

「個性的」という意味は色々あるとは思いますが、既存の枠組みや競争原理に囚われずに自由な視点で事務所をデザインし、時代のニーズを捉えようとしていることが共通していることだろうと思います。

なお、対比の対象として五大法律事務所が置かれていますが、勿論五大法律事務所には五大法律事務所ならではの力強い伝統やパワーがあるとともに、時代に合わせて変化を志向しているという点には、留意しておく必要があろうと思います。

ZeLoは、約3年前の2017年3月、リーガルテックのスタートアップである株式会社LegalForce(現:株式会社LegalOn Technologies)とともに、前職の同期である角田と2人で創業しました。

「個性派」とのお言葉をいただいたせっかくのタイミングですので、Wantedlyの記事でも掲載したことがありますが、僕たちがZeLoを創った理由を少しアップデートしながらお話しさせていただきます。

ZeLoという名の由来

今の大手法律事務所が革命的なローファーム2.0であるとするなら、僕たちは、ローファーム3.0を創る。(この記事では、長くなってしまうので1.0と2.0の説明を省いています。興味がある方は僕に会った時に聞いてみてください。)

「ZeLo」という事務所名には、弁護士でありかつペイパルの創業者であるピーター・ティールの「Zero to One」を参考に、情熱をもって(イタリア語でZeLoは情熱という意味)未だない0からLegalの領域で新しい未来を創っていくという意志が込められています。

ZeLoの採用基準は、創業当初からずっと①VISIONに共感していること、②創業者を超えるかそのポテンシャルをもっていること、の2つだけです。

創業者の名前を法律事務所名にしなかったのは、採用基準からもわかるとおり、僕たちよりも優秀な人たちが事務所にたくさん入ってくると確信していたから。永続するトップファームを創りたかったからです。

大風呂敷を広げてしまいましたが、ローファーム3.0とは何なのか、どうしてこれを創ることを決意したのか。

大手ローファームに入所して

僕は、もともと祖父が精密機器を作る技術系の経営者で、祖父の苦労をよく祖母や母から聞かされていました。そういう経営者のサポートができるプロフェッショナルになりたいという思いから弁護士になりました。

そして、藤原総一郎弁護士に惹かれて森・濱田松本法律事務所という企業法務を専門に扱う大手法律事務所に入りました。

同事務所の前身である森綜合の話がとにかく面白かった。動物園のようにユニークで個性があって頭のきれる弁護士が集まり、合議を重んじ、先輩後輩関係なくいいアイデアを出したヤツが偉い、といった独特の文化をもつ。名もないところから勢い良く企業法務の黎明期を切り開き、一気に四大法律事務所の一角として成長していったという話にワクワクしました。そして、大規模化してなお開拓精神を失わないカルチャーと、藤原先生の異常なまでのカリスマ性に惹かれました。

森・濱田松本法律事務所は、国内最大規模を誇り、紛れもなく国内随一の比類なき大手法律事務所だと思います。

何人かの密に接するパートナーとアソシエイトに鍛えられた仕事の最低水準は今でも僕の基準となっています。

弁護士四年目になって最高の事務所で最高の仕事をしているという高揚感を得ていた一方で、その頃から未来のリーガルサービスはどういったものになるかを考えるようになります。

森・濱田松本法律事務所の同期で共同創業者の角田とは、TOKIAの「串あげもの 旬s 丸の内店」(LINEで串揚げ行こうは結構合言葉になっていました)で現状のリーガルサービスの課題や改善点を夜ご飯時に二人で毎日のようにディスカッションしました。

2016年:森・濱田松本法律事務所時代。行きつけの銀座海人にて。中央若女将は大人気でいつも元気をいただきます。

既存のリーガルサービスの課題

現在の大手法律事務所は、大規模化・組織化することによって大規模な案件をこなせる組織力を得たという点で革命的。しかし、多くのアソシエイトを抱える中、資金に余裕のある大企業に対しては高品質なサービスを提供できるが、それ以外の企業についてはリソースを割くことは中々難しい。また、タイムチャージという報酬設計モデルがもたらす弁護士の労働集約的な働き方にもいずれ限界が来るのではないか。

それに弁護士は他業種に比べて提案が必ずしも得意ではない。仕事をサービス化していくことが苦手であるな、とも思いました。クライアントは、もっともっと提案を求めているのではないか、サービスを求めているのではないかというのが当時の僕たちの考察でした。

同世代起業家たちの背中とアメリカからの黒船襲来

そのようなことに思いを馳せている中、この頃にたくさんの起業家に出会い、また、多くの情報に接するようになりました。

・老舗の大手法律事務所から飛び出し、既存のチャットシステムやストレージサービスを駆使して一人で100社弱の顧問先を持ちつつも、海外を縦横無尽に旅行しながら過ごす型にはまらない弁護士(大手法律事務所の弁護士しか知らなかった僕にはショックが大きかったです)

・ブティックファームから飛び出し、ベンチャー企業をサポートする法律事務所を創業し、またたく間にベンチャー支援を組織的に実現した弁護士(そもそもベンチャーの生態系を知らなかった自分にとっては未知の領域を開拓していく姿が斬新に映りました)

・薬剤師を煩雑な薬歴記入業務から解放し薬局を医療と患者が繋がる“架け橋”に変えるスタートアップであるカケハシのCEOの中尾さん、COOの中川さん(自分たちの力を信じてテクノロジーで薬局を変えていく同世代起業家たちのエネルギーに圧倒されました)

・空室という“死んだ”空間を資産に変える、スペースマーケットのCEOの重松さん(とにかくビジネスモデルが面白かった。思いつきそうだけど誰もやらなかったそのセンスに圧倒されました)

いずれの方も、自分のやり方で新しいサービスを生み出し、社会が抱えるペインを解決するために尽力していました。しかも、驚くことに、彼らは僕らの同世代。彼らに背中を押されたことは大きかった。

そして、アメリカではリーガル×テクノロジー(リーガルテック)が日本に先駆けて浸透しており、衝撃的なニュースが舞い込んできます。

“AI弁護士現る”―人工知能「Ross」が弁護士事務所に就職。カナダの法律事務所がIBMワトソンを用いた法令調査用人工知能を導入。

これが弁護士4年目、2016年5月でした。

ドットが繋がりリーガルイノベーションを決意

この時、色々なドットが繋がりました。同世代の人たちが社会を変えようとしている。リーガル領域の課題についてもしっかりと向き合わければならないのではないか。

僕たちは、リーガルイノベーションを起こすことを人生の目標にしました。
具体的には、①リーガルテックを日本・世界に浸透させ、②あらゆるテックを用いながら次世代のリーガルサービスを生み出す。都市部の大企業だけではなく、スタートアップから地方の数人規模の企業まで、全ての企業が高度なリーガルサービスに公平にアクセスできる世界を創る。

①はLegalForceで実現し、②はZeLoで実現する。これらを実現するにあたって必要な組織力を獲得して、次の時代のリーガルテックリーディングカンパニーとトップファームを創ることを決めました。

既存の大手ローファームを2.0として、次の時代の組織モデルをローファーム3.0と呼ぶのであれば、その組織モデルにおいては、

・ナレッジはテクノロジーによって効率的に共有され、
・単純作業はテックと弁護士以外のリソースによって最適化され、
・タイムチャージは一定の領域で廃止されるとともに、よりパッケージングされた高度で高品質なプロフェッショナルリーガルサービスが生まれる。
・所内にはエンジニアリングリソースを抱えてクライアントサービスに必要なテックサービスを調整するとともに必要であれば自ら開発を行っていく。
・意思決定プロセスはシンプルで、組織は案件ベースでティール的に組成され自由闊達な心理的安全性の高い仕事環境が維持される。

僕たちは、こうしたローファームを創るという志をもってZeLoを創業しました。

2017年:創業当初の1坪以下の日本橋オフィス

ローファーム3.0として

僕たちがZeLoとLegalForceを創業して3年が経ちました。

LegalForceの開発は苦難の連続で、プロダクトは何度もピボットしました。今のAIによる契約書レビューシステムは、多くの人たちの情熱が奇跡のように融合して創られています。

ZeLoではテックを用いた次世代のリーガルサービスを創るためにLegalForceを用い、LegalForceは業務に不可欠な存在となっています。
直近では、これらのリーガルテックを用いながら、従前の顧問業務をアップデートしてスタートアップや中堅企業が法務部を外注できるLegal Process Outsoucing(LPO)というサービスに取り組んでいます。

ZeLoの創業当初、クライアントは片手で数える程度でした。しかし、創業期にジョインしてくれた弁護士たちの情熱と、これに携わってくれた優秀なインターン生たち、そしてそれを支えてくれた情熱的なスタッフによって、急成長しています。2人で始めた法律事務所のメンバーは今では30名を超え、クライアントも100を優に超えています。

ZeLoでは、訴訟対応やM&Aといった伝統的法務業務に基礎を置きながらも、SlackやChatWorkを用いたシームレスな法律相談、CLOとしてのクライアント内部へのコミット、ルールメイキングをクライアントともに行うパブリックアフェアーズに力を入れています。もともと最先端技術への感度が高いメンバーが集まる中で、その感度を活かして、AI・ブロックチェーン、X-Tech、宇宙という新しい法領域の開拓を、一つ一つ地に足をつけて行っています。

既存のプロフェッショナルなリーガルサービスを深化させるとともに、新しいサービスを探索するという両軸でこれからもZeLoは発展していきます。

2020年:日比谷オフィスと参画してくれたメンバー

これから仲間になってくれる方へ

これから仲間になってくれる方へ僕たちが提供できるのは、時代の変わり目で混沌としたマーケット環境の中で、組織的な大きなビジョンに向かって走り続ける一体感と、一人一人がファームの経営者・当事者として大きな裁量をもって切り拓く挑戦の場だと思っています。自分で考え、自分で立つ気概がある人にとっては、とんでもなくエキサイティングなフィールドだと確信しています。

ZeLoは、これらも成長していきます。急成長する創業期のローファームとして、次の時代を創るという気持ちをもって携わっていただける仲間のジョインを心待ちにしています。

ご相談・ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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