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インドネシアにおける新型コロナウイルス(COVID-19)の影響

2020年3月31日、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行に関する国家公衆衛生緊急事態を宣言しました。インドネシア政府は同日、インドネシアにおけるCOVID-19発生の影響を管理・緩和するためのフォローアップ措置として、①大規模社会制限(Pembatasan Sosial Berskala Besar)(2020年度GR No.21) 及び ②国家財政政策及び金融システムの安定性(Kebijakan Keuangan Negara dan Stabilitas Sistem Keuangan)(2020年度Perppu No.1) に関する新たな政策・規制を発出しました。これに先立ち2020年2月初め、政府はCOVID-19に関する従業員の権利保護についても新たな規制を発表しています。今回は、発出された規制・政策に関する概要をお知らせします。

インドネシアにおける新型コロナウイルス(COVID-19)の影響
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PROFILE
フィエスタ ヴィクトリア

インドネシア法弁護士

フィエスタ ヴィクトリア

2006年ペリタ・ハラパン大学卒業。2019年法律事務所ZeLo参画。 主な取扱分野はM&A、ジェネラル・コーポレート、人事労務、フィンテックなど。 インドネシア支持者協会PERADIのプロフェッショナル会員であり、執筆も数多く手掛けている。ALB Women in Law Awards 2021 - Business Development Lawyer of the Year を受賞。

大規模社会制限pembatasan sosial berskala besar

2020年度GR No.21では、政府は「大規模社会制限」と呼ばれる半ロックダウン政策を実施することができるようになりました。これにより、2020331日からは、学校、職場、宗教、その他公共の場所・施設での活動に関連する一定の活動が制限されています。この政策を実施するための政府の取り組みとしては、以下のようなものがあります。

  1. 防衛、保健、物流、通信、生活必需品(食料品など)などの重要な分野で働く人々を除いたリモートワーク政策
  2. スポーツイベントを含む催事、集会の制限、礼拝所の閉鎖
  3. 家庭学習また、中央政府がインドネシア全土でCOVID-19問題を対処する権限が強化されています。

国家財政政策と金融システムの安定性

政府は国家経済を保護し、金融システムの安定を維持するために、2020年度 Perppu No. 1に基づき、以下の措置をとることができます。

a. インドネシア中央銀行(インドネシア銀行)、インドネシア預金保証機構(Lembaga Penjamin Simpanan - "LPS")及び金融サービス局(Otoritas Jasa Keuangan - "OJK")に、以下を含む国家経済の安定を維持するために必要な措置を講じる権限を与える。

  • 現在インドネシア銀行は、政府から直接一次(プライマリー)市場で長期国債(Surat-Surat Utang Negara)と政府シャリア証券(Surat Berharga Syariah Negara)を購入することが許可されています。以前は、二次市場(短期国債を除く)で国債を購入することのみが許可されていました。
  • LPS は、破綻銀行(Bank Gagal)の再建のために、以下の対応が可能になりました。
  1. 国債(Surat Berharga Negara)の売却・買戻し(repo)
  2. 債券の発行(Surat Utang)
  3. 第三者から融資を受けること
  4. 政府からの融資を受けること
  • OJKは、(i)金融サービス機関に対し、合併、併合、買収、統合及び/又は転換を行うよう指示すること、(ii)発行体又は株式公開会社を一定の開示要件から免除すること、(iii)金融サービス機関が情報通信媒体を通じて、株主総会又はその他の規制上の企業会議の開催を認めることを許可することができるようになりました。

b. COVID-19 との戦いを支援するために、国の支出と財源を医療分野に再配分する。

COVID-19発生時の従業員の権利保護

インドネシア労働省によるCircular Letter No.M/3/HK.04/III/2020 TAHUN 2020(以下「Circular Letter」)に基づく従業員給与保護制度の概要は以下の通りです。 

1. 給与支払の一般的ルール

労働法では、従業員が病気で休職した場合、最初の4ヶ月間は給料の100%を受け取る権利があります。その後、休業期間に応じて徐々に給与が減額されます。

2. COVID-19隔離対象者への給与

A. 経過観察の対象者(Orang Dalam Pemantauan)(以下「PUM」)とCOVID-19の疑いのある対象者に対し、雇用主は、以下の者に給与を全額(100%)支払わなければならない。
o 最大14日間出勤できないPUM; または
o COVID-19 罹患の疑いがあり、医師の診断書に基づいて隔離中の対象者。

B. COVID-19患者の場合
雇用者は、上記1のとおり、COVID-19患者の給与を労働法の規定に基づいて支払わなければならない。

3. 給与の調整

上記のほか、各従業員との相互の合意を前提として、企業は在宅勤務や給与調整方針などの社内施策を発令し、実施しなければならない場合があります。


本記事は、弊所弁護士のFiesta Victoriaによる英語記事“COVID-19 IMPACT IN INDONESIA”の和訳記事です。英語版と日本語版に何らかの齟齬があった場合、英語版が優先するものといたします。


¹ Presidential Decree No. 11 of 2020 concerning COVID-19 National Public Health Emergency Situation.


² Government Regulation No. 21 of 2020 concerning Large-scale Social Restriction (Pembatasan Sosial Berskala Besar) to Mitigate COVID-19 Outbreak.


³ Government Regulation jo Law No. 1 of 2020 concerning the State Finance Policy and Financial System Stability (Kebijakan Keuangan Negara dan Stabilitas Sistem Keuangan).


⁴ Law No. 13 of 2013 concerning Manpower.


本記事の情報は、法的助言を構成するものではなく、そのような助言をする意図もないものであって、一般的な情報提供のみを目的とするものです。読者におかれましては、特定の法的事項に関して助言を得たい場合、弁護士にご連絡をお願い申し上げます。

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